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春の章一 風光るにしおりをはさみました!
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春の章一 風光る
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頭に血が昇った可児は、職員室の引戸を後ろ手で力いっぱい閉めた。
担任の言葉を拒絶するように戸は閉まったが、それでも可児は気が治まらず、廊下に設置してあるロッカーから担任の名前を探しだし、怒りを込めて蹴飛ばした。
ガンッという音と共に、安物のロッカーの扉は凹んだ。
教師が生徒を脅迫する異常さに、ただただ腹が立った。
権力の行使であり、弱い者苛めであり、パワハラだ。
解決しないと分かっていても、殴ってしまう遊命の気持ちが今なら分かる。一矢を報いるとか、そんな格好いいものじゃない。
治まりつかない、
“てめー、このヤローふざけんなっ!”
それだけだ。
遊命はそれを直接人に向けるが、可児にその潔さはない。己れのその小ささにも腹が立った。
散々、物に当たり散らした後で、漸く平静さを取り戻した。
このまま遊命に会ったら八つ当たりしてしまいそうで、何度も心の中で自分を宥め諭した。
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