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春の章二 霾(つちふる)にしおりをはさみました!
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春の章二 霾(つちふる)
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藍を切り離すことで、ストーカーによる家族への被害を食い止めようとした。
何度も真実を伝えたが聞き入れてもらえず、父親の固執した考えを変えることはできなかった。
父親が手続きした高校は学力が高く、ピアノに打ち込める環境になかったので、港南高校には一年の三学期から編入した。
そのときも一悶着あり、今や絶縁状態だ。
それでも毎月一定の金額が銀行に振り込まれているのは親の愛情と受け取った。
「何が? …か、うちの親に聞かしてやりたいね」
父親にとって同性愛は理解し難い、むしろ拒否すべき存在で、同時にそれは藍の存在を否定した。家から遠ざけるのは好都合だった。
遊命のように受け止めてくれたら…と思わずにはいられなかった。
藍は両親に伝えきれなかったことを遊命に話し始めた。
「本当にしつこかったんで、付き合ってる奴がいれば諦めるかと思って、可児を恋人に仕立てあげちゃったんだよね」
「何で可児?」
「その頃、可児に噂があって」
「噂?」
「うん、男の運転する車でラブホに入っていったところを目撃した奴がいるとかいないとか」
「可児も男なんだ。だからそれに乗っかって…」
「そう。ノンケの奴、仕立てるより、真実味があるからね。そしたら標的が可児に行っちゃって。ゲイビで絡みのシーンを、俺と可児の顔写真に入れ替えられたビラが、学校の外壁に、ずらーって貼られてたこともあったな」
「ゲイビって何?」
「ゲイビデオ。アダルトビデオの男版。それで結局、噂は本当だったんだってなっちゃったし」
「可児は否定しなかったんだ?」
「否定はしたんじゃない? でも、この手の話は事実がどうだったかなんて関係ないじゃん。全ての人がそうだとは言わないけど、自分が無傷でいられる間は、適当に群がって、適当なこと言って楽しんでる。あいつ、結構追い詰められたんじゃないかな?」
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