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夏の章三 夏ぐれにしおりをはさみました!
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夏の章三 夏ぐれ
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本人も知らなかった過去の経緯が、本人の意志でなく、他人の、それもまるで意図としない出来事によってつまびらかにされた。
事実である以上、受け入れなければ先に進めないのは、可児にも分かっていたが、抗う気持ちの方が勝っていた。
「まだ、何か話してる。離婚すんのかな?」
「さぁ、好きにしたらえぇ。今と大して変わらんし」
「確かに」
「遊命、ドア開けて」
「ん」
もう何度目かの、抱えられてのドア開けに、遊命は長かった今日一日を思い返した。
色々なことが一度に起こりすぎて、頭の中が疲れきっている。当事者である可児なら、なおさらだろう。
──今、どんな顔してる?
何、考えてる?
担がれていても尚、可児に触れていたいと無性に思う。
背中越しじゃない可児の声を聞き、目を見て、真正面から抱き締めたい。
遊命は、握りしめていたままになっていた可児の服から手を緩めた。
部屋に入ると可児はベッドの縁に腰掛け、何を思ったのか、遊命ごと横になろうと身体を傾けた。
「わ、わ……可児、ちょっと待っ…!」
突然の事に、他に頼るもののない遊命は、必死になって可児にしがみつくことしかできない。
偶然にも、二人は固く抱き締め合う形で突っ伏した。
ベッドが遊命の不服を訴えるように、ギッと軋んだ音をたてた。
「痛ってぇ……おケツと腰が……」
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