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夏の章三 夏ぐれにしおりをはさみました!
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夏の章三 夏ぐれ
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可児は照れもせず、遊命の目を真っ直ぐに見ながら言った。
真剣な眼差し。
遊命は一瞬、真面目な表情になり、ふと力を抜いた。
己れの身体に重なる重み。息づいている命。
他人から与えられたものが、こんなにも気持ちいいと感じるなんて──。
「可児って頭いいのにさ、こういうことになると、途端にボキャが少なくなるんだな。藍ちゃんの時もそうだったし」
「……何から話していいか、分からんくなんねん」
「俺は言えるよ。俺が可児を好きになったのは、可児が俺を受け入れてくれたから。見た目がこんなでも、喧嘩しても、頭が悪くても、口が悪くても否定しないで、そのまんまの俺を受け入れてくれたから、俺は可児が好きだよ」
可児は遊命の言葉を一言一句、聞き漏らさないように耳に刻んだ。
「…『俺も』やなくて、『俺は』なんや……」
「ん?」
可児は何でもないと首を振ると、ゆっくり遊命の胸に顔を擦り付け伏せた。
「……俺もや、遊命……」
全てを受け入れて、許してくれたのは遊命の方。
謝られたり、誉められることに慣れていない、遊命。
どんな人に出会い、どんな感情と闘い、今の遊命を形成しているのか。
深く知りたいと思った。
二人は無言のまま、暫くの間抱き合っていた。
E.
※注意事項
・現在の横浜市のHIV検査とは違っているかも知れません。
医療や検査は日々進歩しています。
・保健医や、医師が、故意に嘘の検査結果をお伝えすることはありません。
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