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春、出会いにしおりをはさみました!
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春、出会い
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黒田の隣に腰を下ろすとすぐにチャイムが鳴り、会場は暗くなった。ステージを残してすっかり暗くなっても、講堂内はざわざわと落ち着かない。
「皆さん、お静かに。こんにちは。今日はお集まりいただき、ありがとうございます。司会は私たち生徒会です」
生徒会長の挨拶が始まると会場のざわめきは次第に消えていった。
「今日はゲストスピーカーとして、大学講師で天文学者の瀬戸渉さんにお越し頂いています。瀬戸さんは……」
しばらくゲストの紹介が続いた。都内の国立大学で講師をしている、なんとかという人工衛星の開発に関わった、そんな情報の一つ一つに驚きの声が上がる。祐樹自身も、これからあのステージに立ち、弁を振るうであろう人物に興味が湧いてきた。天文学者といえば、誰でも一度は子供心に憧れる職業の一つだし、宇宙ってなんだか格好良いし。
「では瀬戸さん、どうぞ」
パチパチパチ、と拍手が送られる。かつ、かつ、と床のマイクに音を拾われた足音が聞こえる。ステージの裾を隠している脇幕から、パリッとしたスーツに身を包んだ長身の男が現れた。
一瞬、息が止まるかと思った。一瞬だけだけど。格好良いとか、そんなレベルじゃなくて。目を疑いたくなるような、大概の男なら自分の存在を恥ずかしく思ってしまうような、イケメン。と、同時に胡散臭い。この見た目で、エリート?ありえん。俺は認めねー。
「やべえな…」
隣で黒田が呟く。喉を720度くらいひねってぎゅっと絞り出したような声だった。会場中から悲鳴とも歓声とも思える奇声が上がる。さすが女子校、メスゴリラ量産工場。言い過ぎかな。
男が、瀬戸渉がステージの中央で立ち止まり、正面を向く。一際大きくなるゴリラたちの、もとい生徒たちの叫び声。瀬戸の手がマイクに伸びる。
「はじめまして、大学で天文学関連の講師をさせていただいております、瀬戸渉と申します」
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