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ふん、私としたことがみっともない。これが今生の別れでという訳でもあるまいし......。
・・・・・
それにしてもあの時受けた知らせは大の男を震撼させるに十分だった。君という人があまりにも朗らかに話すものだから危うく2つ返事で快諾しかけたが、そうはいかない。
私にとってこれは有事だ。
昨晩はとにかく引き留めたい一心で食事時から粘り強く説得をはじめ、腹を押さえて病気のフリまで演じてみせたのについに君の心は変わらなかった。
君の言うことが確かならば、私達はこれから途方もない時間を離れて暮らすことになってしまう。
それでもいいのかと口酸っぱく念を押したが、かねてより一度決めたことは例え宇宙がひっくり返っても曲げない君はあっけらかんとした口調で言い放つのだ。
「離れてたって僕達は同じ空の下にいるんだよ。そうだ、夜になったら火星を見上げて? 僕も毎晩そうするから」
「やれやれ、まるで悲劇のヒロインにでもなった気分だ。私は今日ほど君の頑なさを呪ったことはないぞ」
きっと私は君の帰還の日を指折り数え、一日千秋の想いでただひたすら待つのだろう。
「ソウゲツ、分かってくれたの?」
「もう知らん。好きにしなさい。ただしそれまでの時間は全て私によこすんだ」
「え、それって......」
「覚悟しろ!」
「きゃあっ! そんなイキナリ!?」
いつになく獰猛な本能を剥き出しにされた私は、自分でも驚くほどのスピードで君の動きを封じにかかった。君は緋色の瞳を広げて動揺したが「お願い、優しく」と喘ぐだけで、抵抗する素振りは見せない。
今夜は、今夜だけは離さない――。
涙腺に滲む涙をどうにか堪えながら、私は両腕に君を抱えて夫婦のベッドに歩み寄る。
そのまま熱がはぜるような芯を繋げると、近ごろでは小説でしかお目にかかれないような擬音たっぷりに腰ををうねらせ
よせばいいのに、この後に及んで君の身体の虜になった――。
・・・・・
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