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瑞貴の幼児化(パラレル)④にしおりをはさみました!
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瑞貴の幼児化(パラレル)④
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御飯を食べた後、どこから出てきたのか絵本を持ってきて読んでと言われた。
本が好きなのは変わらない。
「ごほんよんで?」
「いいよ〜、おいで」
小さな身体を持ち上げ、膝の上に乗せる。こうして見ると親子になった気分。
持ってきた絵本は「人魚姫」。
確か王子を助けて恋したけど、結局泡になって消えちゃうんだっけ。
悲恋の代名詞とも言われているらしい。
「…………して、人魚姫は泡となり消えてしまいましたとさ」
「…………」
じっ、と言葉を発すること無く聞いていた瑞貴の顔は少し悲しそう。
内容も確かに悲しいものではある。
「瑞貴?」
「………ぼくだったら、にんげんになりたくない」
「?どうして、」
「……だって、おこえとっちゃったらおうじさまにすきっていえないもん」
子供にとって、人に伝えるのは言葉と読み書きしか無いかもしれない。
子供だからこそ考えられる事。
「それに、すきなのにすきっていえないの、いやだ。
いえないのつらいよ……」
「…………」
自分の気持ちを素直に伝えたい。それだけの事が、とても難しい。
素直である頃だからこそ、伝えたいのだろう。
「………もし、瑞貴が声が無くなっちゃう代わりに人間になれたら俺が先に好きって言ってあげる」
「ふぇ……?」
「俺が王子様で、瑞貴が人魚姫。もし、瑞貴が人魚姫でも俺は瑞貴が好きって言うよ」
「ほんと………?」
「ほんと。俺は瑞貴が大好き」
「でも、ぼくおとこのこだもん」
「ふふっ、そうだね」
「………もし、あやおにいちゃんのことすきっていったら、結婚してくれる?」
「結婚?いいよ、でも瑞貴がお嫁さんになっちゃうよ?」
「あぅ……で、でも、あやおにいちゃんなら、いいよ………?」
不安げな瞳に見つめられて、ふっと微笑む。頭を撫でてぎゅっと抱きしめた。
今日、瑞貴の事を中学の時からじゃなくて幼い時から好きになった。知らない頃の瑞貴も、俺は好き。
「じゃあ、瑞貴をお嫁さんにしてあげる」
「ほんとっ?やくそくだよ……っ?」
「約束する。約束のキスでもする?」
「だっ、だめっ、ちゅーすると、あかちゃんできる………」
「っ………ちょっと待って今の凄く胸にきた」
顔を近づけると顔をぺちぺちと押し返してくる。顔を真っ赤にして可愛い事を言うから胸が苦しい。
可愛すぎてもう動悸が激しい。
「じゃあほっぺにする?」
「ん……ほっぺ、ならいいよ」
キスする訳じゃないのに目を瞑ったりする仕草すら愛おしい。
顔を近づけ、頬に唇が近づく。
もう少しで触れる、というところで─────
「ん……………」
目が覚めた。いや、さっきまで目が覚めてた気がするんだけど。
ベットに寝ていて、腕には幼児……ではなく高校生の瑞貴がすやすやと寝ていた。
あれは全て夢だったのだろうか。
せめて写真でも残っていればなぁ、と瑞貴の寝顔を撮るためスマホをつける。
「……!………ふふっ」
愛おしい瑞貴。
俺は、頬にそっと唇を寄せた。
スマホには、確かに幼児の瑞貴の写真があった。
こちらを見て、微笑む瑞貴の写真が。
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