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【ドッペルゲンガーならば】にしおりをはさみました!
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【ドッペルゲンガーならば】
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最近、有本の姿を見かけなくなった。
取り巻き2人も何も知らないようで、しきりにため息をついては「勇気……」と呟いている。
全く、有本がいなきゃ話にならないな。
それにしても、なんで有本は学校に来ないんだろう。
この学校に通うなら、お金持ち……企業持ちだということは分かるが……なにか関係してるんだろうか。
……って、なんで有本について考えてるんだ……俺にはまだやらなきゃならないことが沢山あるのに……。
風人についてもやることはあるし、謎のあの……なんて言うんだ。た、魂?みたいな?
ゴホン!まぁとりあえず、やることすることはそこそこあるんだけど……。
……なんでこう、嫌いな奴のことまで気にかけなきゃなんないんだ……。
嫌いな奴なら放っておけばいいのにとか、自分で思うけど、中々なぁ……。
仕方ない。ちょっと調べよう。
* * *
コンコン
「失礼します。っと……隼人さん、なんか分かった?」
「お、遥燈くん。なんか実物は久しぶりかも……。
可愛い弟よ……」
「隼人さん、埋めるよ。」
「こ、言葉遣いが荒いッ」
急に抱きしめてくるのはやめて欲しい。
全く、驚くよ。
俺は今、理事長室にいる。
理事長である隼人さんに、有本について調べてもらっていた。
隼人さんは暇と言ってもなんだが、結構顔が広かったり、使用人が多かったりで、あまり自分で仕事はしない。だから暇だったりする。
まぁ、大事なことは自分でやるけどね?
「それで、どう?有本は。なんかわかった?」
「うん。前々から少しだけ知っていた情報なんだけど……。
どうやら有本は、有本企業の社長の孫らしいんだ。
それは遥燈くんも知っていたと思うけど。
有本企業の社長には裏があるらしくってね。」
「裏。」
「そう、裏。何やら悪いことに手を伸ばしているようだ。それについて有本くんは知らない。」
……悪行をはかっているのか。
「…あれ、親は?孫ってことは、親は社長じゃないんでしょ?」
「あぁ。……彼は、君と同じで、両親がいない。それも、優しい両親ではなかったそうだよ。」
俺と……同じ。
「彼の両親は、虐待していたんだ。彼に。
彼の両親はね、……彼が殺してしまったんだよ。正確には事故だけどね。」
「有本が殺した?」
「そう。事故処理されたんだけど、彼の両親は、階段から足を踏み外し……。だけどそこまで、が事故だった。
まずは母親だった。母親が階段から落ちた。
それを見つけたのが彼。
彼は、助けなきゃと思ったが、何を思ったか、母親の頭を持ち上げ、階段の角にぶつけた。何度も。強く……。
次は父親。階段から父親を落とし、刃物で指した。
でも、金持ちだった祖父はそれを隠蔽し、事故として処理した。って言うのが、両親の死。」
「…………これが、俺と同じ?違うよ。俺はそんな事しなかったし、母さんたちは優しかった。」
そうだ、俺達は似ていない。全く違う生き物。違う家族。構成、性格、……違う。
一体何が似ているというんだ。
「ううん。似ているんだ。
正反対である君たちは似ている。まるで双子のように。ただそれは、天か悪か。それだけ。」
「幸か不幸かってこと?」
「……それは、どうだろうね。
ただ彼と君は似たような光景を目にし、全く違ったことをしている。
びっくりするほどにマッチしていて……。」
ガタン!!!
俺はそんな心の音がした気がした。
行かなきゃならない。彼が俺と似ているというのなら、きっと彼は……!!
「待つんだ、遥燈くん。彼は、もうすぐ、アメリカに旅立つ。
商業や、指導者としての厳格などを学ぶためだよ。……明後日、午後3時までだ。いいね?彼は、今日と明日で荷造りやパーティーなどで忙しい。
そうだね、……明日の夜、彼は、時間が空いてるはずだ。
やることは分かってるね?」
「うん。わかってる。
取り戻してくるよ。俺の兄弟に。」
そうだ。俺達はきっといつの日か兄弟のような存在になるんだ。
双子の……。
母さんが前にいっていた。
あなたは今の父さんの子ではないのよ。と。
特に驚きもしなかったし、あぁそうだったのか。それぐらいだった。、
そのことについて俺は特に何も語らず、それを承知した。
まさか、それが、君だったなんて……。
ドッペルゲンガーとでも言うようなそれは、兄弟だったのか。
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