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元カノ -1-にしおりをはさみました!
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元カノ -1-
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行為が終わったのはそれから1時間は経った後だ。動けない俺を置いて興本がシャワーを浴びに行っている間、何とか這いつくばって携帯を手に取り、ベッドへと横になった。
時間を見れば夜飯を食べるにはちょうどいい時間だったから、だいたい時間の感覚は合っているだろう。
とりあえず母親に遅くなる旨のメールを一文で送る。
送信ボタンを押した頃に興本がシャワールームから出てきた。
「何してんの」
興本が俺の携帯を取り上げて尋ねてきたので、素直に送信相手を伝える。と、興本は納得したようですぐに携帯を返してくれた。
「井瀬はシャワーどうする?」
「…もう少し待って。まだ動くのしんどい」
「俺が入れようか」
俯せになっていた俺の背中を優しく撫でてくれる興本の手が、なぜか厭らしく感じるのは気のせいだと思う。
「どうしても時間がない時はお願い」
興本の手が背中から腰へと移動する。その手は相変わらずねっとりとした動きで、次第に尻へと下がっていく。
それでも興本のされるままになっていれば、興本は楽しそうに喉で笑って俺を背中から抱き込んできた。
「じゃあ時間になるまでゆっくりしてろ」
興本に背中から抱きしめられ、その心地よさに俺はコクンと頷くしかできなかった。
その間興本が何をするのかと思えば、興本も何やら携帯を見ているようだ。肩越しにそっと振り向いてみれば、携帯を片手に寝そべる興本と目が合った。
「なに?」
「う、ううん。何してるのかなと思って」
「メール」
まさか答えてくれるとは思わなくて、少し驚く。
「誰…って聞いても良い?」
少し入り込んだ質問だったかもしれない。けど、今なら許されるような気がして口に出してみる。
興本は視線を携帯に戻してぎゅっと俺を抱きしめなおした。
「早矢香」
「え…」
それは予想外の相手で、俺は勢いよく振り返った。おかげで腰が痛んだけど、それでも興本と向き合った。
俺が知らなかっただけで、サヤカさんと別れてからも二人は連絡を取り合う仲だったんだろうか。俺は興本の交友関係を知らないし、知ろうともしなかったから、それを確かめるすべはない。
そんな俺の疑問を察してくれたのか、ただの気まぐれだったのかは分からないが、興本は俺の頭を抱きこんで教えてくれた。
「今日たまたま会ったから思い出に浸ってるだけだろ。俺との思い出なんてロクなもんしかないと思うけど」
「別れてからは会ってなかったのか?」
「会ってねーな。会う必要もなかったし」
それでも1年以上付き合っていた仲だ。良い思い出が少なかったとしても、思い出すだけで嫌な思いをするほどの別れ方でもなかったはずで。だから今日久しぶりに興本を見かけたサヤカさんはあんなにも再会を喜んでいた。
興本がどう思っているのかは分からないが、少なくともサヤカさんにとって興本は大切な人だったことに違いはない。
「…じゃあ、2年振りだね」
興本がサヤカさんと別れたのは高校に入ってすぐだったはず。
サヤカさんが久しぶりに会って懐かしむには十分な月日だと思った。
俺と興本がエッチな関係になった時期とも丸々被っているんだけれど、それは今更言うことでもない。だからこそ俺がサヤカさんのことを知っているのだ。
「なんだ、焼きもちか」
俺がしつこく彼女の話題を広げるからか、喉の奥で可笑しそうに笑う興本が、そっと指先で俺の顔を上へと向かせた。
「そう…ん、…っ」
そういうわけでもないのだけれど。
と言う前に口を塞がれた。唇を舐められて、誘われるまま舌を差し出した。
舌先を絡め取られて、収まっていた情欲が僅かに頭を覗かした。
「妬いてる井瀬も良いね」
興本の手が俺の尻を揉み始め、ますます俺は下半身の熱を意識せざるを得なくなった。体は疲れているのに、脳は欲しいと信号を出す。そのジレンマに胸が痛い。
「興本、俺…」
そしてとうとう我慢ができずに俺から興本の首に腕を回してキスをせがんだ。
「は…、なにそれ、かわいすぎ」
そんな俺の煽りに乗ってくれた興本は、再び俺を仰向けに倒すと、力の入らなくなった俺の足を持ちあげた。
備え付けのゴムは既になくなっていたため、予備のゴムを自分の荷物から取り出した興本は、素早く自身のそれに取り付ける。
先ほどまで興本のそれを飲みこんでいた俺の穴は僅かなローションでもすぐに興本を受け入れられた。
「マジでどの女よりイイよ、お前」
腰を動かし始める興本の言葉に俺は更に胸が苦しくなった。これは本当の嫉妬の方だ。
でもそれを俺が言葉にしてはいけない。興本が望んでいるのは、そういう俺ではないからだ。俺が興本を縛り付けてはいけないからだ。
興本が求めているのは、ただ従順な、温もりを与えてくれる相手だ。
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