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18歳以上ですか?
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「はぁ? 別に熱は無いけど」
「そうじゃあなくて。お前、兄貴を心配しすぎて動揺しまくってない?」
見くびるなよ、阿呆。
「子供か。そんなんになって無いわ!」
頭をがしがしと掻く。
悠馬から突き刺さってくる視線が痛い。
「人は、案外簡単に死ぬからな」
ぎくりとした。こいつ、本当に――
「あっけなく、いなくなるから――素直に動揺しとけ」
糞。いつもいつも、洞察力だけは優れていやがる。
どうしてこいつは俺の気持ちがわかるのだろう。優斗にしか言わないそれに何故気づくんだ。
友人として出来すぎだろ。すげぇわ。
心配そうにしている、のかな。いつもの飄々とした雰囲気が抜けて、とても静かな空気を纏っている。
小さくため息をついた。
「ばーか。もうそんなに弱くはねぇよ」
拳をつくって胸を小突く。
「でも……ありがとな」
これぞ友情。悠馬は阿呆だけれども、意地悪で、たまに怒鳴り散らしたくなるけれども、いい奴だ。
笑ってやると、笑みを返された。妙にこの空間、尻がかゆくなりそうだ。
「じゃあとりあえず上がれ――」
と、声をかけて廊下を顎で指したその時、玄関のドアが突然大きく開いた。
「海斗! 大丈夫か!?」
肩で息を整えながら叫んでいる湊。優斗が起きたらどうするんだ。
少々眉を顰めながらも首を傾げる。
「あれ? 湊まで来たのか。学校は?」
「んなもんサボりだ」
おいおい。担任が泣くぞ。
悠馬が面白いものを見るような目で、湊をにやにやと眺め始めた。やめろ、気づかれたら後が怖いだろ。
「悠馬に変なことをされなかっただろうな」
こちらへ詰め寄りながらも悠馬を睨む湊へ呆れてしまう。
「だから、お前や航じゃああるまいし、何で悠馬にそんなことされんといかんのだ」
「こいつが一番怪しいんだよ!」
意味がわからん。
悠馬が顎をさすりながら、湊を上から見下ろす。
「え、頭の中がみだらなことでいっぱいなのは湊ちゃんの方でしょうが」
「俺をそんな風に呼ぶな!」
叫びながら悠馬の胸倉を掴みあげる。おい。
玄関という狭い場所で乱闘なんて始めるなよ?
一瞬白目を剥きたくなるのだがそこは堪え、二人へ口を開く。
「お前ら本当に何しに来たんだよ……ほら、とりあえず上がれ」
再び廊下を顎で指して先に進むと、背後から湊の声が聞こえてきた。
「スエット姿の海斗も可愛いなぁ」
お前はエロ親父か。そんな、ねっとりとした声を出すんじゃあねぇよ。
無視をしながら歩く。
「それ部屋着か?」
無視、湊には効果が無いらしい。
「寝巻きだ」
短く答える。
「着替えろよ」
悠馬に指摘された。まぁな。でも面倒くさいんだよ。
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