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18歳以上ですか?
6にしおりをはさみました!
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6
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もう秋だから、暖かいお茶の方がいいだろう。
食器戸棚からマグカップを三つと、茶筒を取り出す。
緑茶の入れ方なんぞわからんけど、皆味に五月蝿い方じゃあないからいいだろ。
急須に茶葉を入れていると、湊がキッチンへ現れた。
「手伝う」
「おお、悪いな」
湊へマグカップを手渡し、シンクを指す。
「一応中を軽くすすいでくれるか?」
嬉しそうに笑いながら小さく頷いてきた。お前、いつもそんな風にしていたらいいのに。
蛇口を捻る姿を確認してから急須へ湯を注ごうと、ポットへ視線を向ける。
……何か、妙に足元へ水滴が飛んできてないだろうか。
慌てて振り返る。
「うわぁぁお前何やってんだ!」
蛇口を最大に開いたな、さては! マグカップの底から水が、消防車のホースから出てくるような勢いで跳ね返ってきてるだろ!
焦りながら急いで駆けつけ、蛇口を捻って水を止める。
すぐ傍にあったタオルを湊へ投げつけ、もう一つあったタオルで床を拭いた。
びしょぬれ状態じゃあないか。
床を拭き終えた頃に、湊がしょぼくれた声を届けてくる。
「ごめん。悪いんだけど着替えを貸して」
そう申し訳なさそうに頭を垂れられると、文句も何も言えない。
「ほら、ついて来いよ」
背中を軽く叩くのだが、まだ顔を上げてこなかった。
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