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恋が実ってからと言うもの、毎日の生活は楽しくてあっという間に過ぎ去っていく。
気付けば僕らが一緒に住んでから一週間が過ぎようとしていた。
そんな頃、僕にはある疑問が頭をよぎった。
「ねえ大貴ー」
隣でテレビを見ている大貴に問いかける。
「んー?」
大貴はテレビから目を離さない。
まぁ、目を合わせて話せる内容じゃないけど。
「……僕らって付き合ってるの」
一週間前、お互い気持ちが通じ合ったんだよと大貴から聞いた。僕は酔っていて記憶がぶっ飛んでいたからあまり覚えていないけど。
「んー」
大貴は曖昧な返事をする。
僕は黙って大貴の返事を待った。
「付き合ってはないかな」
だろうと思ってたけど。
いざ言われると何か腑に落ちない。
「なんで?なんで付き合ってないの?」
「ごめん」
大貴は謝るばっかり。
僕は謝って欲しいんじゃなくて、理由を教えて欲しいだけなのに。
「ごめんじゃなくて、なんでって聞いてるの」
少しイラついてしまい、強めで言ってしまった。
僕は喧嘩なんてしたくないのに、僕の口から出てくるのは嫌な言葉ばかり。
「ねえ大貴、聞いてるの」
一向に黙ったままの大貴に呆れて、僕は立ち上がりリビングを出ようとする。
「どこ行くの」
「どこでも良いでしょ」
僕って本当に可愛くない。
そんな自分に余計イライラする。
「待って、分かった。話すから。だからこっち戻ってきて」
大貴がテレビを消し、自分の隣のスペースを手で叩いた。
僕は渋々元の位置に戻る。
「俺がお前と付き合わないのは、お前の事が好きじゃないとかそういうのだとお前は思ってるんだろうけど、違うよ。お前の事が大事なんだ。付き合ったら別れが来そうだろ?怖いんだよ、別れが来るのが。お前と別れるなんて俺きっと耐えらんねえから、だから付き合わねえの」
大貴の口から出た言葉は意外なもので。
僕の事を想ってくれてるのが良く伝わった。
なのに僕はイラついたりなんかして、馬鹿だ。
「大貴……」
「お前を不安にさせるなんて最低だよな、ごめん。でも、そこを分かって欲しい。俺の我が儘だけど許してくれる?」
今まで怒っていた自分に怒りたい。
そんなの我が儘じゃないよ。我が儘なのは僕の方だ。
僕は返事の代わりに大貴に抱き着いた。
大貴はちゃんと受け入れてくれる。抱き締め返してくれる。
顔を上げ、大貴を見つめた。そしてどちらからともなくキスをした。
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