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20にしおりをはさみました!
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20
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朝起きると、僕の上には毛布が掛けられていた。
確か僕何も掛けずに寝たはずなのに。
間違いなくこんなことしてくれるのは一人しかいない。
僕はその毛布をギュッと抱き締めた。
毛布には微かに大貴の匂いがする。
「大貴、ッ…………」
僕は大貴を抱き締めることが出来ない分、その毛布を強くキツく抱き締めた。
毎日お互いすれ違ったままの日々を過ごし、一週間が経った。
明日は僕の誕生日なんだ。
このまますれ違って過ごすのは嫌だ。せめて誕生日だけは……
僕は決めた。今日、ちゃんと大貴と話し合おう。
誕生日のためとかじゃなくて、僕たちの未来のために。
それから大貴が帰ってくるまで大人しく待った。
何度も何度も謝る練習をして、また元に戻れると信じて。
そして、大貴が帰ってきた。
心臓がドキドキする。
大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせて、心を落ち着かせる。
「ただいま」
大貴がそう言いながらリビングに入って来た。
「お、かえり」
「うん」
大貴はそのまま自室に行こうとしていた。
「待って大貴」
僕は勇気を出して、大貴を呼び止めた。
大貴は何も言わずに振り向く。
「僕、こんなの嫌だよ」
今まで溜め込んできた想いがどんどん溢れて行く。
「僕、前みたいに大貴と笑って、好きって言い合って、……キスしたり、したいよ、それは僕の我が儘?」
少し間を置いてから大貴は静かに答えた。
「我が儘じゃないよ」
そして大貴が微笑んだ。
久々に大貴の笑顔。僕も嬉しくて、思わず微笑んでしまった。
「ごめんね大貴、ありがとう」
あぁ、そうか。
僕は謝ることばかり考えていたけど、大事なのは感謝の気持ちだったんだ。
久しぶりに大貴と笑い合った夜はすごく楽しかった。
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