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「こんなの食えるかよ!さっさとさげろ!!!」
「も、申し訳ありません!!」
8月1日。とある夏休みの朝。俺はいつも通り今日の食事に難癖つける。
今日の食事には野菜がたくさん入っていたのだ。母さんの命令でシェフがそういうメニューを作っているのは知ってる。俺の身体のためなのも知ってる。けれど、とにかく気に入らなかった。
勿体無いと言われれば申し訳なく思ってしまうが、あとで使用人が美味しくいただくだろうから別に良いだろう。
シェフが慌てて料理を変えに行ったところで、隣で控えていた執事が俺に声をかけてくる。
「修弥様。皆、修弥様のお身体のことを考えております。そのようにむやみに声を荒げるのはおやめください」
「なんだよ。この俺に向かって説教なんて、いいご身分だな」
父親は大企業の社長。母親は敏腕弁護士。そんな両親のもとに生まれた俺、一ノ瀬修弥(いちのせしゅうや)は当然ハイスペック。顔良し、頭良し、身体能力良し。天は俺に二物を、いやそれ以上のものを与えたわけだ。
そんな俺にこの家で説教を垂れるのは、両親以外にはメイド長と、俺の専属執事であるこの鳴上響(なるかみひびき)くらいのもの。
黒縁眼鏡をかけたその顔はとても整っていて、気配りもできるもんだから、25歳という若さながら、他の執事やメイドたちからの信頼が厚い。
父さんも母さんもこの鳴上には一目置いていて、俺がどんなに首にして欲しいと頼んでも取り合ってはくれなかった。
俺が睨みつけても顔色ひとつ変えない鳴上は、今日も淡々と仕事をこなす。
「食事終了後、旦那様と奥様がお呼びです」
「父さんと母さんが!?」
忙しい両親とは滅多に会えなくて、今日のような何のイベントもない日に会えるなんてことは稀だ。
だからつい食い気味に返事をしてしまった。
......この後どんなことが待ち受けているのか知りもせずに。
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