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「お帰りなさいませ。賢斗様」
夏休みも残り数日。敬語もなかなか様になってきて、やはり俺の適応能力は素晴らしいと実感する。
病院から帰ってきた賢斗を迎え、部屋へと向かう。
「で、どうだったんだよ」
賢斗の自室に入った瞬間から俺たちは対等だ。病院での結果を聞けば、賢斗はソファに座りながら答えた。
「あー......ちょっと釘刺された」
「釘ってもしかして.....」
「まぁ、気にすんな。概ね良好だよ。あと三週間くらいで治るってよ」
「......」
なんだか納得いかない部分もあるけど、良好と聞いてとりあえず安心した俺は、仕事へ戻ろうと部屋を後にしようとした。けれど、俺の名を呼ぶ声に引き止められる。
「修弥」
ソファの方を振り返れば、賢斗は左手を動かして俺を呼んでいる。けど、素直に行く気にもなれなくて、俺はぶっきらぼうに応えた。
「......なに」
「いいから、来いって」
「......」
「主人命令」
賢斗の主人命令は「お前の親に何言ってもいいのか?家に帰れなくなるぞ」という意味を含んでいる。この数週間でそれを学んだ俺は、賢斗を睨みながら、しぶしぶ近づいていく。
「ほら、ここ座れ」
そう言った賢斗に手を引かれ、俺は賢斗の膝の上に座らせられる。ここ数日、毎日のように行ってるコトが連想されるこの体勢に不満しかなく、俺は冷ややかに言ってやる。
「......ほんと最低。だから釘なんか刺されるんだよ」
多分俺のせいだ。抜き合いっこするときに思わず触れてしまったことがある。賢斗は何も言わなかったけど、少しだけ顔を歪めたのを俺は知ってる。
しかし、始めた原因は賢斗なのだから、結局悪いのは賢斗だと俺は悪態をついた。けれど、それを気にする様子もない賢斗は俺の首筋に髪を擦り付けてくる。
「だって、お前とこうやって出来るのがあと三週間だと思うと寂しいだろ」
「......俺、あと一年帰れないんだけど」
「そうじゃなくて、こっち」
ぎゅっと賢斗が掴んだのは、まだ通常通りの俺のモノ。突然触られたことに驚いた俺は、急いで賢斗の手を払う。
「おまっ、さすがに早いって!まだ昼だろ!」
「ははっ。かーわいー。夜なら問題ないんだ?」
「なっ!?そ、そういうわけじゃ......」
もともと、賢斗の怪我の原因が自分だから仕方なく協力しているだけで、俺はシたいと思ってない。全く思ってない。それなのに、俺の語尾は自信なさげに小さくなった。
「......そんな顔すんなよ。お前が俺のこと嫌いなの知ってるから、これ以上のことは望まないって」
ひどい顔をしているのはどっちだ、と言いたいほど賢斗は辛そうに笑った。その顔を見た俺はなんだか罪悪感を感じて胸が苦しくなる。
嫌いだと何度も言ってきた。悔しくて、憎くて、嫌いだと何度も何度も言って、終いには俺はこいつから逃げた。
その間も賢斗はずっと俺を想っていたなんて、なんと皮肉なことだろうか。
賢斗はいったいどんな気持ちで、俺の睨みを受けていてていたのだろう。
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