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賢斗のバイクに乗って連れてこられたのは海だった。
正しくは海が見える家。
「ここは?」
窓から海を見ながら尋ねれば、賢斗も隣に来て海を眺めながら答える。
「じいさんから貰ったんだよ。死んだとき相続した」
賢斗のお祖父ちゃんは物知りで優しくて大好きだった。
葬式ですごく泣いたのを今でも覚えている。
「ガキの頃にここに連れてこられて、すっげえ気に入ってよ。そうしたら、遺書にここは賢斗にあげてくれって」
「へえ」
「凌真は山の方の別荘貰ってたな。あいつは行くのめんどーいって言ってっけど、俺は結構来てる。疲れたときとかここに来ると癒されるんだよな」
ははっと、賢斗は照れ臭そうに笑った。
確かにすごく景色が綺麗で、気にいる理由も分かる。
けど......
「いいのか?そんなとこに、俺を連れて来て」
俺が癒しの空間にいて良いのだろうかと思って聞いたら、賢斗が呆れ顔をする。
「お前、それ本気で言ってる?馬鹿じゃねえの」
「なっ!!」
馬鹿と言われたことにカッとなった俺だけど、それはすぐに収まった。
引き寄せられ、抱きしめられたからだ。
「誕生日おめでとう。修弥」
「......ありがと」
「たっく、一番に言いたかったのに、仕事入るし電話でないし、怒ってんじゃないかって焦って帰ったら、鳴上さんと仲良くしてるし。肝が冷えたわ」
「......そんなことで怒るわけないだろ。大体、朝まで自分の誕生日忘れてたし。それに鳴上はただプレゼントを付けてくれてただけだ」
「うん。頭では分かってんだけど、駄目だな。お前のことになると冷静でいられなくなる」
何余裕ない声出してんだよ。
だけどそんな賢斗も愛おしい。
とか、らしくないことを考える自分がいた。
何だか恥ずかしくなった俺は、それを紛らわすように悪態を吐く。
「......お前こそ馬鹿だ」
「ああ」
眉を寄せて笑った賢斗が俺の頬に手を当てる。
触れただけの唇はすぐに離れ、少し物足りなく感じた。
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