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宿り木の下で11にしおりをはさみました!
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Kissing under the mistletoe(期間限定公開)
宿り木の下で11
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ークリスマスに宿り木の下でキスをすると、幸せな恋人になれるー
初めて、この人とキスをしたのは、もじ丸の離れでだった。
初恋の相手の秋音だった彼が、記憶を失って早瀬暁として現れて、あの夜、偶然再会した。
まるで事故みたいだった、初めてのキス。強引に口づけされたはずなのに、嫌ではなかった。
初恋の彼に似ていたから?
ううん。違う。
強引な癖に優しい暁に、どんどん惹かれていったあの時の自分を思い出すと、今でも胸がドキドキする。
過去のトラウマに怯えて尻込みして、殻に隠れようとする自分の心を、暁は少しずつ柔らかく優しく溶かしてくれた。大丈夫だぜって笑いながら、暖かい光の射す場所へ導いてくれた。愛される歓びを溢れるくらいに与えてくれた。
そして、事故で暁が消えた時、再び暗闇に閉ざされた自分を、怪我をおして必死に追いかけてくれたのは……秋音だった。
何度、絶望に打ちひしがれても、優しく手を差し伸べてくれるこの人の愛情の大きさ。
……この人に出逢えて……本当によかった……。
人格が2つに分かれていても、自分にとって、暁と秋音は1人なのだ。その根底にある魂を心から愛している。これから先、何があってもずっと。
暁に愛撫されて官能に蕩けた雅紀の白い肌が、うっすらと桜色に染まっていく。
堪えきれずに漏れ出る掠れた低い喘ぎ声も、甘さと艶を増していく。
……待って。暁さん、待って
宿り木の下の、神聖な誓いのキス。暁だけじゃなくて、秋音ともしなくちゃ。自分にとって彼らは1人でも、彼らの意識はそれぞれに独立してるんだから。気持ちよすぎてぐずぐずに溶けて、訳が分からなくなってしまう前に。
「ね……暁さん……」
うっとりと目を開け、暁を見上げる雅紀に、暁がちょっと不思議そうに顔をあげた。
「そこに……秋音さんも、いる……?」
雅紀の無言の願いを正確に察してくれたのだろう。
暁は、ふ……っと微笑んで、身体を起こした。見上げる雅紀の目の前で、前髪をふわっとかきあげる。
暁と秋音が入れ替わる瞬間は、一緒に暮らし始めてから、もう何度も見ている。それは不思議な感覚だった。同じ見た目だから、多分、他の人が見たら気づかない位の、ちょっとした変化なんだと思う。でも自分には、はっとするほど鮮明に、その表情は違って見えた。
……わ……秋音さん、だ……。
秋音が柔らかく微笑んだ。
「……ああ。いるよ。雅紀」
表情も仕草も話し方も、秋音だ。雅紀はふんわり微笑んで
「秋音さんも……宿り木のキス……してください」
少し恥ずかしそうに呟く雅紀の頬を、秋音は優しく撫でて
「もちろんだ。愛してるよ、雅紀」
しっとりと穏やかなキスを落とした。
ー完ー
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