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18歳以上ですか?
29にしおりをはさみました!
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「永久!」
「ん?」
「元気?無事?熱は?もう大丈夫?」
「‥」
月曜日。
俺の顔を見るなりベタベタと体を触り生存確認をする氷室壱と‥
「本当に?まだ具合悪くない?病院行った?」
「‥具合悪くて休んだんじゃないから平気」
うるうると今にも泣きそうなデッカい目で見つめてくる子猫ちゃんこと緋崎桃太。
「具合悪かったんじゃないの?」
「サボリだサボリ」
「なんだあ‥電話繋がんないし、メールも返ってこないからオレ‥何かあったんじゃないかって‥しっ、心配してっうぅ」
「あ゙ー‥悪かった。爺ちゃんと婆ちゃん家行ってて充電器忘れてさ」
目頭に溜まる涙が落ちそうだったので桃の髪をポンポンと撫でてやると間に合わなかったらしくボロっと零れ落ちた涙が少し痛々しくて罪悪感。
「永久がっぶ‥無事ならいいんだっ‥よかった」
「‥悪かった」
「‥うっうぅ」
すぐに止まりそうにない涙をワイシャツの袖で何度も拭いながらグズグズと鼻を啜るので頭を抱えるように抱き締めて。背中をポンポンとあやす。
「ったく‥泣くなよ」
「ごめっ。でも今日もっ行方不明だったら警察に行こうって‥思って」
「‥次からは気を付ける」
こいつなら本当に警察に行きかねない‥気を付けよう。
俺をぎゅーっと抱き締めてからへへっと笑って離れる桃の頭をもう一度ポンポンと撫でる。
「おっ、オレも心配!心配したから!」
「あー‥悪かったって」
「だからっ!」
こっちはこっちで鼻の頭がほんのり赤い。
いつも覇気のない顔でヘラヘラしてるくせに意を決したような表情。
「‥しねーよ?」
「え゙っ!してくれないの!?」
「やっぱり。」
「桃にはぎゅうまでしてるのにっ!オレにはナシ?」
「無し」
「即答!?
う‥オレっ‥オレもなでなで‥それくらいいいじゃんケチっ」
ブツブツと文句を言う壱はふてくされたように席に座った。
「壱」
「なんだよっ!桃とイチャついてればいいだろっバカっ!すかぽんたんっ!まっしゅるーむっ!鬼っ悪魔っちびぃぃっ!」
「‥」
中々怒ってるらしくコイツなりの精一杯の悪口を並べる。が‥断じて俺はチビじゃねえ。
「‥悪かった」
「!!」
「‥ありがとう」
地毛な訳がないその金髪をポンポンと。それからわしゃわしゃと‥セットされてるんだか寝癖だか分かんない髪を思い切りぐちゃぐちゃにしてやる。
「‥永久」
「‥なんだよ」
髪をぐちゃぐちゃにされたのに嫌な顔ひとつせず椅子に座る壱は俺を見上げて目をキラキラさせる。
「‥とわーっ!」
「おわっちょ‥やめろ!」
いきなり抱き付いてきた壱を引き剥がすのは重労働なんだよ!
こいつ俺よりでけえから!
「桃もっ!笑ってないでこいつ剥がせ」
「えー?ふふっ、いいんじゃない?そのままで」
だーもう!
登校して教室に集まり始めた生徒にチラチラ見られこれじゃあまるで羞恥プレイ
「永久君」
「?」
俺を呼ぶ声に教室の前のドアを見ると何度か顔を合わせた事がある、確か‥
「宮野先輩?」
「!
あっ‥あのね、ちょっといいかなっ」
「あ、はい」
抱き付いてた壱を引き剥がしてドアまで駆け寄る。
「どうかしましたか?」
「あ‥あのね?今日放課後少し時間貰えないかなって‥」
「‥分かりました」
「ホントっ!じゃあ放課後っ」
廊下を走って行ってしまう宮野先輩の短いスカートを見つめる。
いつもは告白される事なんかそんなにないけど最近‥告白が増えた。
卒業間近の告白ラッシュみたいな物なんだと思うけど‥三年生の可愛らしい先輩が何も一年の俺なんかに告白しなくもいいと思う。
俺は断る事しか出来ないから‥
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