アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
28
-
「なー永久!
じいちゃんよ、最近ケータイデンワ買ってな!」
「へー!」
自慢気に携帯を見せてくる爺ちゃんは何となく可愛い。
「じいちゃん稔さんとメル友なんだ」
「はっはあ!?
え、嘘でしょ!?聞いてない!なにそれ!」
いきなりの告白に声を荒げる俺。
爺ちゃんが携帯を買ったのだって今知ったのにメル友って‥何それ!
もうこれ以上爺ちゃんと婆ちゃんに付け込むのは勘弁してくれ。
「稔さんなー、たまに永久の写真送ってくれるのよ」
「俺の写真!?
写真なんか撮られてないよ!ちょ‥ちょっと見せて!」
「あー‥」
爺ちゃんから携帯を奪うように取り上げて操作していく。
永久はちゃんと寝れているのか‥という心配メールに、寝顔の写真付きでぐっすりですと返信。
友達とは仲良くやってるか‥という心配メールには、桃と壱と三人で笑って何やら話しをする‥盗撮的な写真付きで今日も元気に仲良くしてますと返信。
「‥まじか」
脱力感に襲われそのまま寝転がる。
クソっ
あの教師ぶっ飛ばしてえ‥
生徒の盗撮は許されないだろう!
目的の送り先が俺の爺ちゃんと婆ちゃんだから別に危険じゃないけどそういう問題でもないだろ!
「爺ちゃん」
「ん?」
「これ消すね」
「え?」
「盗撮だからね?いけない事なの」
「勝手に消すなよおっ!じいちゃんの孫がっ!」
「孫は目の前に居るだろ」
素早く操作して稔さん名義のメールは全て削除してから携帯を爺ちゃんに返す。
「あぁ‥」
悲痛な爺ちゃんの声は無視してお茶を啜った。
「永久も爺ちゃんとメル友なろうや」
「‥えぇ」
「いいじゃろうが!写真いっぱい送ってくれていいからなっ!」
「‥どんだけだよ」
「じゃあまた稔さんに送って貰うしかないだろう」
「分かったよ!」
もう稔さんの名前を聞きたくない
それに先生と爺ちゃん婆ちゃんとの関わりなんか掘れば掘っただけ出てきそうで、もう怖くて聞けない。
――‥
夜‥
誰もいないベランダに出て空を眺める
肌寒さが風呂上がりの体の熱を冷まし心地良かった。
よく考えたら‥もう一度ちゃんと先生と話しをしなきゃいけない。
いきなり居なくなった事も誉められる事ではないし、部屋の事や今後の事を話さないといけない。
まだ考えは纏まらないけど最悪転校も覚悟しなきゃな‥
簡単に奪われた熱は心地良さを通り過ぎ足先から冷やしていく。
見上げた空は何処までも遠く高く‥煌めきだけが敷き詰められていた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 69