アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
33にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
33
-
それから俺は走って走って走り続けて‥
「はあっ‥はっ‥っ」
人に見られようと走り続け
結局、足を止めたのは自宅アパートの前‥肩で息をしながら二階の一番端を見つめた
行く場所なんか無い
ここに‥戻るしかない
今まで世話になった人に‥大切な人に、俺は怒鳴りつけてくだらない台詞しかぶつけられない
先生には感謝しないといけないのに‥最低だった
止めると決めたこの気持ちを‥ぐだぐだと引きずり切り替えられないのは何故?
「はあ‥はあ‥」
息が整わないまま重たい足を上げて階段を踏み締めていく
もし‥俺が俺じゃなかったら
俺は先生を迷わずに求めたのだろうか
教師と生徒
男と男
そんな事を気にせずに胸を張って好きだと言えただろうか‥
ガチャガチャ
毎日俺の手の中に入る鍵はもう使い慣れてしまった
バンッ
靴を脱いで鞄を投げ捨てブレザーとネクタイを床に叩きつけた
「クソッ」
それでも治まらない自分への怒りと憎しみが体を震わせて、思い切り蛇口をひねり出てきた水へ頭を突っ込む。
「っ‥うっ‥クソッ‥っく‥んっ‥はあっ」
泣いてなんかない
泣いてなんかいない
蛇口から出てくる冷えた水はすぐに頭全体を濡らし目元や鼻先から落ちていく。
俺が俺じゃなかったら
そもそも先生を好きになったりなんてしてない
俺がもっと早くに生まれてたら‥きっと先生と出会う事すら無かった
なのに‥なんで俺は先生と出会って好きになって‥こんなにも気持ちは溢れ出るのに‥先生を俺のモノにできないんだろう
こんなにもこんなにも
彼がいいと‥そう思える人に出会えたのに、離れる道しかないんだろう
俺はどうして‥どうして‥
でも
出会った事、触れた事
後悔はしない
後悔なんてできる訳がない
できる訳‥ないんだ
こんなにも好きだと思えて‥アナタに出会った事を後悔なんて‥できる訳がない
だから‥
あげる
俺の幸せは先生にあげる
先生の幸せは一生‥
俺の持つ幸せで保証するから
だから‥だから笑っていて
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 69