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「桜‥咲かなかったね」
「そうだね」
「‥」
卒業式当日
登校途中で鉢合わせた2人と歩幅を合わせるように歩く。
見上げた空は晴天で、桜の木には膨らんだ蕾が付いていた。
「オレ‥こうゆー雰囲気苦手なんだよね。泣いちゃうかも」
「オレもちょっと目頭が‥」
「‥」
桜‥咲かなかったか。
卒業式に桜‥見たかったような気がする。
「永久も泣きそう?」
「‥」
「大丈夫っ!2人とも泣いたらオレが抱きしめるからっ!」
無反応で歩き続ける俺を心配して声を掛けてくる桃と、相変わらずの我が道を行くお気楽野郎。
「でも最近永久‥ちょっと元気ないから」
「‥確かに。
あ、カラオケ行こう!今日は卒業式の午前で終わりだし、ファミレスでお昼食べてカラオケー!」
「うんっ」
「‥」
「え、永久まさか行かないなんて言わないよね!?行くよね?ねっ?」
俺の前に立ちはだかりガッシリと肩を掴んでくる壱。
なんでコイツはこういう時だけ威勢が良いんだろう。そして掴まれた肩が若干痛い。
「‥」
「やだよっ!?永久も行くんだからね!行かなかったら絶交だからねっ!」
「おっ、オレも!絶交はしないけど‥永久が居ないとやだからねっ」
「えっ!?桃はしないの絶交っ」
「だってそんなの嫌だし‥」
「オレだって嫌だけど!精一杯脅さないと永久は頑固だからっ!」
「‥」
ああ‥
絶交がコイツの精一杯の脅しなのか。
どうでもいいけど周りの目が痛い‥
後ずさる程じゃないけどコイツらの一致団結パワーには少し呆れる。
「‥あのさ」
「「!?」」
「行かないなんて言ってないだろ」
「本当っ!ヒャッホウ!」
「良かったっ」
デカい体して飛び跳ねてヒャッホウとか言わないで欲しい。恥ずかしいから‥切実に。
桃は桃で嬉しそうにニコニコ笑って‥
「ったく。」
「いでっ!えっ?」
隣の桃の頭を軽く叩いてやった。
「あー!
永久が桃虐めてるっ!」
「うるせえ」
「あうっ!酷い永久っ」
壱には蹴りをお見舞いしてからスタスタと歩き始める。
「置いてくぞ」
「待ってよ!」
「あっ!置いてきぼり反対っ!」
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