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episode.131 結婚式にしおりをはさみました!
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episode.131 結婚式
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〜恋side〜
「……でかい。」
恋は結婚式場の前で思わずそう呟いた。
教会を模したその会場は恋たちの家からは少し遠く、翔也が車で連れてきてくれた。
「恋はこういうところ来るの初めてか。」
「え、あ、はい。」
琉に声をかけられ、振り返る。
「さて、琉と恋くんは受付お願いね。小雪ちゃんは適当に待ってて。あ、恋くん、千秋ちゃんきたら一緒にいてあげて。多分あの子怖がるだろうし。」
翔也がそう言う。
「はい。」
千秋は紘の車に乗って後で来るらしい。
「明希くんは?」
「実家から来るみたいだから、もう来てるかも。つーことで俺も行ってきますー!!」
翔也はさっさと会場に入っていく。
恋、赤津、小雪も後を追って入る。
まだ時間が早く、受付も開始していないので誰も来ていない。
「琉さーん!僕も受付手伝うっ!」
「おう、ありがとうな。」
恋、赤津、小雪で並んで受付を始める。
徐々に人が入ってきて、木之本家と上原家が挨拶に出ている。
翔也の父、浩也は黒い燕尾服、母、瑞貴はパステルブルーのアフタヌーンドレスだ。貴也はダークスーツを初めて着たらしく、なんだかソワソワとしている。
明希の父、明利も黒い燕尾服、母、菜々子はベージュのアフタヌーンドレス。利希はまだ小さいため、軽い制服のような服。
あまり形式にはこだわらない挙式なのだとか。
恋や赤津もあまり格式ばった服装ではない。
とはいえ、恋は明希のベール持ち役でもあり、挨拶までするのだ。
緊張して仕方がない。
「恋緊張してるの?」
「え、あ、はい。まあ……」
「まあそんな心配しなくても……」
「あーっ!紘さーんっ!!」
赤津の言葉を遮るようにして小雪が入り口の方に手を振る。
「おお、琉と恋が受付やってたのか。」
千秋は紘の後ろに隠れるようにして歩いてくる。
「千秋、大丈夫?」
恋がそう聞くと、千秋はこくりと頷いたが少し震えているように見える。
「恋、受付平気だから千秋とちょっと離れてろよ。」
「いいんですか?」
赤津が千秋の様子を見てそう言った。
「おう。」
「それじゃあ俺が手伝うよ。」
「助かります。」
代わりに紘が手伝うという。
「それじゃあ、ちょっと失礼します。」
恋は千秋を連れてその場を離れた。
「恋くん!」
菜々子が千秋と並んで座っていた恋に声をかけてきた。
「菜々子さん!明希はもう着替えたんですか?」
「ええ!1人で控え室にいてね、少し緊張してるみたいで……良ければ顔出してあげてくれない?千秋くんも一緒に。」
「それじゃあ少し、行ってきます。」
「うん、お願いね。」
"明希のお母さん?"
控え室に歩いて行く途中で千秋が恋にそう聞いた。
「うん。」
"とても嬉しそうな顔してたね。"
「やっとわだかまりが解けたんだから。」
"そっか。明希、どうしてるかなぁ。"
「緊張してるって言ってたよね。泣いてたりしたらどうする?」
恋がそう言い、笑いながら控え室の扉をノックする。
「はい。」
明希の声が聞こえて、扉を開けた恋と千秋の目に映ったのは、鏡に映る明希の姿。
「恋、千秋!」
恋と千秋の顔を見て、明希はパァッと顔を明るくした。
「……明希、すごく綺麗だ。」
千秋も恋の言葉に頷く。
「本当?」
真っ白いタキシードに、まるで花嫁のような長いベール。
花のカチューシャのようなものでベールが止まっていて、本当に綺麗だった。
"その辺の女の子より綺麗だよ。"
「冗談寄せって。」
明希はそう言って笑う。
「……本当に綺麗。 もう、結婚するんだなぁ。」
恋はしみじみとそう言った。
「うん……なんか、俺も信じられない。」
"明希は、いい奥さんになるだろうね。"
「なにそれー!」
そう言って笑う明希。
その笑顔はとても柔らかくて、幸せそうだった。
「……なぁ、明希。よかった、本当に。俺、明希に会えてよかったし、明希が幸せになってくれてよかった。」
恋は心からそう言った。
「恋……俺もよかったよ。恋と知り合えて、今まで一緒にいれて。これからも、友達でいてくれるだろ?」
「当たり前。明希はもう、ひとりじゃないからな。」
恋の言葉に千秋も微笑んだ。
「俺もいるし、千秋もいる。紘さんも、赤津さんも。明利さんも菜々子さんも、もちろん利希くんも。それに、翔也さんもいる。」
恋はそう言いながら明希の肩に手を置く。
「いっぱい、愛されてるんだから。」
"明希、幸せになりなよ。"
「うん。ありがとう。あー!なんか、緊張ほぐれた!やっぱ恋すごいなぁ。」
"一応僕もいたんだけど。"
千秋はクスリと笑った。
「わかってるー!千秋も。ありがと。」
「さて、そろそろ時間だろ?」
「うん。」
「千秋、行こう。」
"明希、また後でね。"
「うん。また後で。」
恋と千秋は控え室を出て受付に戻る。
招待客全員が揃ったらしく、琉たちは座席に、恋は入場口に向かった。
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