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〜恋side〜
7月21日
「……え?!」
恋はとある家の前で呆然としていた。
「俺の実家。」
隣に立つ赤津は何でもないことのようにさらりとそういった。
確かに今日は、少し大事な用があると言われていたから、手土産やら何やらは持ってきたが、まさか。
「ご実家だなんて……聞いてませんよ?!」
「ん?大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃないですよ、心の準備っていうのが……」
「心配するな。」
赤津はそういって恋の頭を撫でる。
そうされれば何だか安心した。
「でも……」
「大丈夫。大切な人連れて行くって、言ってあるから。」
赤津はそういってインターフォンを押した。
「はい!!琉兄ちゃん?!」
「おう。開けてくれるか?」
「待ってて今行くー!」
インターフォン越しに聞こえた声はまだ幼げで、程なくしてバタバタと音が聞こえてきた。
「琉兄ちゃんおかえり!!」
「おう、ただいま。」
出てきたのは貴也と同じくらいの年頃の少年。
赤津と同じく焦げ茶色の髪で、目もぱっちり二重だった。
まだ背は低く、165くらいだろうか。
「煌(こう)、母さんたちは?」
煌と呼ばれた少年、おそらく赤津の弟だ。
「うん、中にいるよ!」
「恋、行くぞ。」
赤津は恋の手を引いて中に入る。
「母さん!琉兄ちゃん帰ってきた!!」
「あらあら……おかえり。そちらは?」
リビングらしきところから出てきたのは赤津と目がそっくりの綺麗な女性。母親だろう。
「話してた、俺の大切な人。」
「まあまあ、よく来てくださって。父さん、リビングにいるから、こっちいらっしゃい。」
赤津と恋、それから煌もリビングに入る。
「お邪魔します。」
恋は赤津の父親と母親に一礼した。
「お掛けなさい。」
赤津の焦げ茶色の髪は父親譲りなのだとすぐにわかる。
穏やかな表情で恋を見つめてくるその目は少したれ目で、優しげだ。
「初めまして。青木恋といいます。」
ソファに腰掛け、軽く頭をさげる。
「琉の父親の隆文(たかふみ)です。」
「琉の母親の眞弓(まゆみ)です。」
二人も名前を述べ、軽く頭を下げてきた。
「奏(そう)は今日は高校に行っていてね。もうじき帰ってくる。」
奏とはおそらく赤津のもう一人の弟だ。
「突然帰るなんて言ってごめん。」
「いいのいいの。あなたが大切な人を連れてくるなんていうからどんな方かと思ってドキドキしてたけどね。」
眞弓はそう言って微笑む。
「青木恋くんが、その、大切な人なのか?」
「うん。今、真剣にお付き合いしてる。」
恋は緊張からぎゅっと拳を握りしめた。
認めてもらえるだろうか。
こんな自分が、赤津の隣にいることを、許してもらえるのか。
そんな不安で、手に汗がにじむ。
そんな恋の手を、赤津の手が優しく包んでくれた。
「父さんと母さんにも認めてほしい。」
赤津がそう言えば、隆文と眞弓は顔を見合わせて微笑んだ。
「認めるも何も、お前が選んだのだろう?大切にしなさい。」
「父さん……」
「青木くん、琉のことをよろしく。」
「は、はい……!こちらこそよろしくお願いします。」
恋に向かって頭を下げてくる隆文に、恋も慌てて頭をさげる。
「まあ、そんな堅苦しいのはやめにして、食事でもどう?」
「作ってくれたの?」
「あら、当たり前でしょ?どうせこんなことだろうと思ってたもの!さあさ、恋くんもどうぞ。」
眞弓は楽しそうに食卓を勧める。
「琉兄ちゃんの彼女?彼氏?どっち?」
「おい煌。俺が恋にやられてる方に見えんのか?つーか父さんと母さんの前でお前は何言わせんだバカ。」
この場で1番恥ずかしいのはもちろん恋だが。
「いや、俺はそんなつもりで言ったんじゃないって!」
「はっはっは!琉、奏にも紹介するんだろ?」
「そりゃ当たり前だろ。」
「気をつけろよ。昔からお前と奏の好みはそっくりだからな。」
隆文が苦笑しながらそう言った時だ。
「ただいまー!」
玄関から声が響く。
赤津によく似た声だが、少し高めだろうか。
「あれ、兄さん帰ってきてたんだ。」
これがおそらく奏だろう。背丈は赤津と同じくらいあり、かなり高い。
赤津の姿を認めると少し顔を綻ばせた。
そして次に恋に目をやる。
「超美人!俺奏です。よろしく。」
そう言った奏は恋の頬に軽くキスをしてきて、恋は固まったまま動けなくなった。
「おい、奏!」
「ん?なに?」
「そ、奏兄ちゃんが、琉兄ちゃんの彼女に手出した!」
「お前覚悟はできてんのか?」
「やだな、ただの挨拶でしょ?兄さんのものを奪う気なんてありませんー。」
奏はそう言ってクスクス笑う。
「ごめんな、悪戯っ子なんだ。」
赤津は恋に向かってそう言う。
「だ、大丈夫ですけど……」
心なしか赤津と似ているなどと感じてしまった恋である。
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