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〜恋side〜
9月28日 12時半 ファミレスR
「おはようございます。」
「おはよう!もう熱は平気?」
すっかり熱が下がり、元気になった恋は久しぶりにRに出勤してきた。
「はい。先週はすみませんでした。」
「いえいえ!店長も心配してたよ。電話もらったときは驚いちゃったよ。」
どうやら電話の相手はこの女性社員だったらしい。
「いきなり婚約者だとか言うからさ!赤津さん、ってもしかしてもしかする?」
「ええ…と…はい、まあ、そうですね。」
本当のことを言っていいかどうか迷い、言いふらしたりはしないだろうと思って恋は肯定した。
「やっぱりね!前にね、一度赤津さんがここに来たんだよー。恋くんのこと探しててね。そのときはメガネかけてたし、よくわかんなかったけど、今思えば似てたわ。そりゃ本人だもんね。」
クスクス笑いながら社員がそう言ったので、恋は烏沢のことで揉めてたときかな…などと考える。
「恋くんの色気とか笑顔が増えたのって彼のおかげだったりするの?」
思ってもみなかったことを言われて、恋の頬は真っ赤になる。
「恋くん、常連さんからも人気だし、笑顔が増えてすごくいいって言われてるんだよ、最近!」
「そ、そうなんですか?」
「うんうん。あ、安心して!言いふらしたりはしないから!!でも、店長は気づいてるかも。お休みの連絡もらったとき報告してるからさ。」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます。」
「いえいえー!じゃあ今日も笑顔でね!」
「はい。」
なんだか嬉しような恥ずかしいような、そんな不思議な気分でその日の仕事を始めた。
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「いらっしゃいませー!」
3時間半ほど経ち、時刻は16時になろうかというところで、よく来る学生二人組が入ってきた。
「2名様でよろしいですか?」
「はい。」
「こちらのお席どうぞ。ご来店ありがとうございます。ご注文お決まりになりましたらボタンでおしらせください。」
案内を済ませ、また別の仕事に取り掛かる。
しばらくしてその学生のテーブルからオーダーの呼び出しがなった。
「ご注文お伺いいたします。」
「えーと、ドリンクバー2つで。」
「かしこまりました。ドリンクバーあちらからご自由にご利用くださいませ。」
近所の高校、実は明希の母校だが、そこに通っている2人はかなりの頻度でここに来て、話をしたり勉強をしたりしている。
名前こそ知らないし、客と店員の関係だが顔くらいは覚えた。
伝票を取りに戻り、伝票を渡すために再びその学生たちのテーブルに向かう。
「別にいいじゃん。今時そんな恥ずかしいことでも隠すことでもないだろ?」
「そういう問題じゃないだろ!」
「えー?お前突っ込みたくないの?」
聞こえてきた会話に、恋は思わず立ち尽くした。
なかなかタイミングの悪いときに来てしまった。
少し遠くから話が聞こえていたが、おそらくそういう行為についての話だ。
恋の姿を見て、学生の1人の顔が青ざめる。
「お前まじふざけんな…」
「え?あ…あー…」
おそらく、常連だからこその気まずさだ。
でも恋には、なんとなくこの話の理解はできる。
男同士で付き合うとき、どちらが上になるかというのはかなりの問題だ。
それに何より、タイミングを間違えたのは自分だ。
「あ、あの…お客様、お気になさらずに。」
そう思ったら自然と言葉が口に出た。
「え…」
学生は驚いた顔で恋を見る。
「あまり気にする必要はありませんけれど…他のお客様や店員がどんな反応をするかは俺にもわかりませんから…声はもう少し抑えた方がよろしいかと思います。お客様が嫌な気分になられてはせっかくのお食事が台無しですから。」
できるだけ学生に威圧感を与えないようににっこりと笑う。
出てきた言葉は、決して社交辞令ではなく、本心だった。
ここにいる客の中にはまだ偏見がある人もいるだろう。それで彼らが何かを言われ、嫌な気分になるのは、恋としても嫌だった。
「あ、あの!ありがとうございます!お兄さん…お名前は…」
「青木です。またいつでもいらっしゃってくださいね。」
それだけ言って学生たちのテーブルを後にする。
そのあとしばらく働いていたら、先ほどの学生2人が会計にやってきた。
1人と目があった恋がお辞儀をすると相手もお辞儀を返してきたので、頑張れという意味も込めてニコっと笑った。
その後店を出た2人が、
「…なぁ、青木さんってさ、受けだよな。」
「ふぁっ?!」
「え?」
「え?なんでそうなった?」
「…にじみ出るオーラが?」
「まじお前の目どうなってんだよ。」
などというかなり的を射た会話をしていたのを恋は知る由もなく…
「へっくしゅん…」
(まだ風邪…?)
突然出たくしゃみに、風邪が治っていないだろうか、などと考えていたのであった。
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@nzの別作品(短編)「先輩、今日は。」での神対応店員、恋くんのお話。
「終わった。」と「攻めの極意たるもの。」のところで登場しております!
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