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〜翔也side〜
明希を昔からよく来ていたカフェに連れてきた。
このカフェは夜はバーになるため、翔也は昔、よく女を連れ込んでいた。
ここに来れば、スキャンダルになることはない。誰も言いふらしたりしなかったからだ。
どうにも満たされない時、翔也は女遊びに走った。
「酔っ払っては奥の部屋で女を抱いてましたよ。しかもそのあと決まって死んだ目するんです。迷惑な話ですね。」
マスターの登坂洸大(とさかこうだい)は苦笑しながらそう言った。
「赤津さんのことも知ってますか?彼も止めていたんですけど。それがぴったり止んだのが去年の夏です。」
誰も自分を見てくれない。
本当の自分を、誰も愛してくれない。
俳優業がうまくいかなくなった時、走った女遊びも、結局翔也の心を満たしてはくれなかった。
そんな翔也の心を一瞬にして奪ったのが明希だった。
「きっと明希さんに会ったからですね。」
洸大はそう言って明希に微笑んだ。
「う…うぅー…」
「え、ちょっと明希ちゃん?!今は明希ちゃんしか愛してないから泣かないで?!っていうか昔も別に愛してたわけじゃないし!!」
泣き出した明希に焦った翔也は、店に誰もいないのをいいことにそう言った。
「ちが、ちがくて…俺…おれぇ…」
翔也は思い切り泣きだした明希を抱きしめることしかできなくて、どうしていいかわからなかった。
「しょ、やさんが…辛かったんだなって…おもったら…涙、止まんなくて…」
少し落ち着いてきた明希がそう言って、翔也は驚いた。
「俺…ちゃんと…翔也さんが好きです…俺と向き合ってかれて…俺を助けてくれて…俺を愛してくれた翔也さんが…好き…」
「っ…明希ちゃん…」
もともと、経験があることを隠してきたわけでないが、明希に話せばなんとなく受け入れてもらえない気がしていて、今までは避けてきた話題だった。
それを明希は、いとも簡単に受け入れ、翔也が欲しい言葉を、心の底から言ってくれる。
救われたのは、一体どちらなのだろう。
「朝からお熱いようで。」
洸大がそう言って笑う。
途端に明希が状況を思い出して頬を真っ赤にして俯いてしまった。
「お幸せに。」
洸大はそう言って翔也たちを送り出してくれた。
車に乗ってからも、明希はスンスンと鼻を鳴らしていた。
「明希ちゃん。」
「はい…」
「ありがとう。俺のこと好きになってくれて。」
「俺の方こそ…翔也さんが、俺のこと好きになってくれてよかった。」
そう言って笑った明希の顔は、キラキラと輝いていて眩しかった。
そのあとすぐ、役所に行って提出した婚姻届は、やっと形になった2人の関係性。
これからずっと、自分の隣で、明希に笑っていて欲しいと、翔也はそう思うのだった。
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