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*102
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〜恋side〜
22時
「お疲れ様でしたー。」
「お疲れ様ー!」
恋は店長に挨拶し、Rを出る。
雨が少し降っていて、遠くの方に雷の音も聞こえる。
(…雷…)
思えば、琉がそばにいない時ほど、雷が鳴っている気がする。
急に不安になり、早く帰ろう、と恋は駅まで走った。
電車に乗ると、夕方からの雨のせいか、かなり人が多かった。
行きと同じように、扉の近くの手すりに掴まる。
そしてまた、行きと同じく、尻に違和感を感じた。
(…またかよ…!)
行きも帰りも痴漢に遭うなど最悪だ。
恋の気分は落ち、早く着かないかと、そればかり考える。
ちらりと後ろの方に視線をやるが、朝とは違う男のようだ。
朝、電車を降りた時にチラッと見えたのは禿げた男だったが、今はそれなりに若い男のように思う。
「っ…?!」
前側にまで手を伸ばしてきて、恋の体が強張る。
「…震えてる。怖い?」
耳元で囁かれ、恋は固まった。
「次は〇〇〜」
(早く降りようっ…)
恋の降車駅で、扉が開いた瞬間、恋は降りて走り出す。
駅を出ると雨が先ほどより強くなっていた。
着ていたコートのフードを頭からかぶり、帰り道を歩く。
その時だ。
突然腕を引かれ、路地裏に引き込まれる。
そしてそのまま、唇を重ねられた。
「んんんっ!んむっ…ぅ…」
腕を押さえこまれ、壁に押し付けられて身動きが取れない。
恋の目に涙がにじむ。
(怖い…怖いっ…)
「…はは…可愛い。好きにして良いって許可もらってるし…俺のものにしちゃおっかな。」
ペロリと唇を舐め、そう言って笑うのは、先ほどの痴漢だった。
「っや…!」
手をひとまとめにして押さえられ、太ももを撫で上げられる。
男の手はそのまま後ろに移動し、尻を揉まれて、鳥肌がたった。
最悪なことに雷まで鳴っている。
恋はもう、何が怖いのかわからなくなってきた。
「やだ…やだっ…!」
恋が涙をこぼしてそう言った時だった。
ガターン!と大きな音が路地の入り口から聞こえ、恋はビクリと肩を震わせる。
「なんだよ。邪魔すんなよ。」
「誰がそいつに手出して良いって言った。」
暗くて顔はよく見えないが、声ははっきり聞こえた。
もう何度もなんども聞いたその声は、いつもとは違い、冷たく、怒りをはらんでいる。
「あ?お前誰だよ。俺はなぁ、鷹島グループのお嬢さんに許可もらったんだよ。さっさと帰れ!」
「…ざけんなよ…」
影はどんどんと近づいてくる。
そして恋を押さえていた男を思い切り殴り飛ばした。
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