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〜奏side〜
「ごめんなさいっ!ほんっとにごめんなさい!!」
「なんで謝るのー?別にいいのに。」
「いやだって、寝るとかほんと最低…」
貴也は顔を覆って俯く。
奏としては、さほど面白くもなかった映画より、寝ていた貴也を見れたことの方が満足だったし、むしろ良かったと思っていた。
「可愛かったしいいよ。」
「か、かわ…」
プシュー、と湯気でも上がるんじゃないかというほど急速に顔を赤くした貴也の手を引き、映画館を後にする。
「くくく…耳まで真っ赤。」
少し歩いて振り返ると、貴也はゆでだこのように見えている肌全てを赤くしている。
「はずかし…」
「貴也くんはイタリアン平気?」
「へ?あ、はい。好きです。」
「じゃあお昼ご飯はイタリアンね。」
「やった!」
喜ぶ貴也を見て目を細める奏。
もちろんこれもすでに貴也がピザやパスタが好きだと知ってのことだ。
そして極め付けは。
「その店デザートも美味しいんだ。」
「ふおぉぉぉ!」
キラキラとした目を向けてくる貴也に、奏は口元の緩みをいつまでも締められずにいる。
「さて、着いたよ。」
「えっ、なんかめっちゃ高そう…」
「お金は気にしなくていいってば。」
「え、いや、俺が入ったら場違いっていうか、奏さんと並べないっていうか…」
「なんで?俺は貴也くんと一緒がいいよ?」
「…もう…奏さんずるい…」
「ん?」
「なんでもないです…」
また顔を赤くしている貴也がなんて言ったのかわからず聞き返すが、なんでもない、と目をそらされる。
「さて、入るよ。」
貴也の手を引き、店の中に入る。
席に案内され、メニューを渡されたので、それを貴也に見せる。
「何が食べたい?」
「ふおぉぉ…美味しそうっ!」
「貴也くんの好きなもの頼んでいいよ。」
「えっ!」
「俺この店のならなんでも食べるから。気になるもの頼んでシェアしようよ。」
「ほんとに?!」
嬉しそうに目を輝かせる貴也を今すぐ抱きしめて可愛がりたい衝動をなんとか抑え、優しく笑って頷く。
「どうしよう…ピザとパスタ両方食べたい…奏さんのオススメは?」
「パスタならこれかなぁ。」
「じゃあそれ!」
「いいの?好きなの選んでいいんだよ?」
「んー、俺わかんないし、奏さんが好きなものがいい!」
(…なんなのこの子、俺を殺しに来てるの?)
無邪気に笑う貴也に奏は虜だ。
「あ、でもピザはこれが食べたい!」
「それ俺も好きだよ。」
「ほんと?!じゃあこれ!」
「サラダは?」
「食べるっ!」
前菜もいくつか選び、注文を済ませる。
ニコニコしながら店の窓の外を眺める貴也が、本当に可愛いと思う。
初めはなんとなく気になるなぁ、程度だったのに、今やもう抜け出せない泥沼にはまったような気分だ。
しばらく貴也を眺めていると料理が運ばれてきた。
「いただきます!」
「いただきます。」
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