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〜奏side〜
「はー、楽しかったー!」
イタリアンレストランを出た後、街をブラブラとしながらウィンドウショッピングを楽しんでいた貴也と奏。
イタリアンレストランでは、琉たちを見かけて驚いた。
映画館を出る前に、恋たちがいることに気づいてはいたが、偶然とはいえ、まさか琉たちとまで遭遇するとは思わなかったのだ。
もっとも、奏が気づいているのみで、おそらく貴也は気づいていないのだろう。
「よかった。またデートしようね。」
「で、デート…」
湯気が上がりそうなほど顔を赤くして、嬉しそうに微笑む貴也に、奏はそろそろ限界を迎えそうだ。
「はー…貴也くんほんと可愛すぎ。」
「や、そ、そんなことないです!!」
慌てて首をブンブン振るその姿さえも可愛いのだから、どうしたところでいつか理性は途切れるのだろうと思う。
「まあ、今日はそろそろ帰ろっか。送ってあげる。」
「えっ、いいですよ!俺男ですし!」
「俺が送りたいの。ほら行くよ。」
手を引き、駅に向かって歩く。
きゅ、と少しだけ手に力を入れてきた貴也が愛しくて、指を絡める。
「はわっ…」
動揺したのか、おかしな声を出した貴也に、奏はクスクスと笑った。
電車に乗り、貴也の最寄り駅に着く。
そこからなんとなく無言で歩く。
あっという間に貴也の家が見えてきて、もう少し一緒にいたい、という思いに駆られた。
「そ、奏さん…」
「ん?」
呼ばれて振り返る。
夕日に照らされている貴也の顔が赤いのは、夕日のせいか、それとも別の理由なのかはわからない。
「大好き…」
そう言ってぎゅっと抱きついてきた貴也に、奏の心臓が跳ねる。
4歳も年上なのに、余裕は全くない。
「もう…そういうことすると抑えられなくなっちゃうでしょ。」
「…奏さんなら…いいもん…」
「こら。貴也くんはまだ中学生。いくらなんでもダメだよ。」
「…俺…早く大人になりたい。早く、奏さんの隣に並んでも、変じゃない大人になりたい。」
そう言ってくれるのはもちろん嬉しい。
だが、奏は貴也に無理して背伸びしてほしいわけではない。ありのままの貴也が好きだ。
「貴也くん。俺は貴也くんが好きだから。そのまんまでいいんだよ。」
「でも…子供の俺じゃ…奏さん飽きちゃうかも…」
そんなことは全くないのだが、不安になって、少し涙目になっている貴也が可愛すぎて、いじめたい衝動に駆られる。
「…子供、ねえ。」
「だから、俺……っ?!」
何かを言おうとした貴也の口を、自分の口でそっと塞ぐ。
すぐに離したが、柔らかい感触に、もっと触れていたい思いが膨らむ。
「き、す…」
「子供で結構。そんな貴也くんが可愛いんだから。それに、キスくらいでこんなに真っ赤になっちゃうなんて、俺が初めてってことでしょ?」
貴也はブンブンと首を縦にふる。
「…ま、俺も初めてだけどね。」
そう言えばもう燃えるのではないかと思うほど顔を真っ赤にした。
「し、しんじゃう…」
「あはは!ね、貴也くん。」
顔をぐっと近づけ、しっかりと貴也の目を見る。
「大人にはいつでもなれるから…もう少しだけ、子供でいて?」
この先きっと、貴也はどんどん成長していく。
でも今は、今はまだ
自分に翻弄されている貴也でいい。
「う、うん…」
「ふふ、いい子。」
頭を撫でて、わざとチュッとリップ音を立てて額にキスをする。
「さ、もう帰らないとね。また今度ね。」
「うん…」
照れて俯いている貴也の頭を優しく撫でる。
「LINEでも電話でも、いつでもしてくれていいよ。」
「ほんと?!」
「もちろん。出れなくても必ずかけ返すから。いつでも遠慮なく連絡して。」
「うん!ありがとう!奏さん、ほんとに、大好き。」
そう言って満面の笑みを見せてくれる貴也に、奏の頬がほんのり赤くなったのに、貴也は気づくことなく、手を振って家の中に入っていく。
「…はー、ほんと。翻弄されてんのはどっちだか。こりゃ兄さんのことバカにできなくなるなぁ。」
琉が恋にデレデレしているのが、今は理解できる。
「貴也くん可愛すぎてやばい。」
そう呟いて、奏はにやける顔を押さえたのだった。
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