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〜恋side〜
少しの間、受付の近くのソファに腰掛けて待っていると、明希が戻ってきた。
「お待たせ!」
「どうだった?」
「とりあえず1週間様子見だって。副作用早く出るかもって。」
「そっか。なんかあったらすぐ翔也さんに言いなよ?」
「うん。」
「俺とか千秋でもいいし。」
「うん。」
会計を済ませて、病院を出る。
「最近、本当に偏見なくなってきたよね。」
「そうだなぁ。妊娠補助薬が出来た頃はまだ偏見あったもんな。」
「そうそう!まあ翔也さんとか、琉さんとかみたいな芸能人が、男同士とかで結婚したりとかしたのも影響してるかもしれないけど。」
明希の言う通り、最近の芸能界では、琉や翔也をはじめとした芸能人が、同性婚をすることが増えていた。
今ではもう、偏見をする人の方が、おかしいと思われる時代だ。
「女性で、妊娠補助薬を打つ人はどうなるんだっけ?」
「あぁ、これに書いてあったよ。」
先ほどもらった、説明の紙を取り出す。
「んー…要は精子が作れるようになる、ってことだな。」
「でもさ、男と違って、あれ、ないわけじゃん?」
「そうなんだよな。まあだから、妊娠には体外受精が必要らしいよ。」
「女性同士は大変なんだなぁ…男同士もまあ大変なことは多いけどさ。」
「妊娠するってなったら大変だよな…俺の職場にいるよ。女性同士で付き合ってる人。」
「えっ、そうなの?!」
「うん。俺もついこの前知ったんだけどね。」
何度か琉の話を聞いてくれている女性社員の松田の恋人が女性らしい。
「そういえば、今度飲み会に、彼女さん連れてくるって言ってたわ。」
「えー!!まじかー!すごいね!!」
「なんでも、店長の知り合いらしいんだよね。」
「へぇ…時代は変わったなぁ。」
「明希、お前まだ20だよな?」
「うん。ちょっと言ってみたかっただけです。」
明希がへへっ、と笑った。
「あ、飲み会で思い出した!!」
「ん?」
「…その反応は、恋はまだ聞いてないな?」
「なんの話?」
「今度ね、翔也さんたちが奥さん同伴の飲み会に参加することになったんだって。参加してほしいって言われたんだけど、琉さんから聞いてない?」
「全く聞いてない。」
「奥さん同伴の飲み会とか、俳優さんはわけわかんないことするよねぇ…って翔也さんが言ってた。」
そう言う翔也もその俳優のはずだが。
「誰かの企画なのか?」
「うん。なんでも大御所の俳優さんらしくてね、断れなかったって。琉さんはまだその俳優さんに会ってないのかもね。」
「あー、かもな。」
「多分琉さんも断れないんじゃないかなぁ…」
「はは…」
ということは、自分も参加することになるということだ。
「まあだから、一緒に参加することになるんだろうね。」
「明希がいるなら少しは安心だわ。」
「俺も俺も!1人だったら心細いけど!!」
「その飲み会ってどんな感じなの?」
「うーん、翔也さんの話では、どこかを貸し切りにしてパーティーみたいになるんじゃないかって。」
「すごいな。」
この時の恋は、貸し切りとは言っても、どこかの店を貸し切って、何人かで集まる、小さなパーティーくらいを想像していた。
いわゆるホームパーティーのような、そんなアットホームなものだろう、と。
ところが実際のパーティーは、そんな恋の想像とはかけ離れているものであることを、恋も明希もまだ知らない。
そしてそのパーティーは、新たな問題を引き起こしてしまうことを、2人は思いもしなかったのだった。
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