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18歳以上ですか?
16。にしおりをはさみました!
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16。
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みーのーべーくーん。
そう言いながら俺はみのべくんの頬をつつく。
なあにー?おにいちゃん
みのべくんが笑ってこっちを向く。
かわいいな。愛しいな。
離したくないなぁ。
***
今日もいつもと同じ。変わらない日々。
そんな時、みのべくんが大きな声で話しかけてきた。
「ねえおにいちゃん!」
「なに?」
「ぼく、本が読みたい!」
本をめくるジェスチャーをしながら目を輝かせてその意図を俺に伝えるみのべくん。
うーむ、もうそんな歳か...、読ませた方がいいよなぁ。
念のため、読みたいものとか聞いた方がいいかな。
「何の本が読みたいの?」
「んーとねー、詩集とか!」
渋い。
渋いぞみのべくん。
でも子供の自主性は守らないとダメってテレビで誰かが言っていたし......。
「うーん詩集かー...」
「ダメ?」
そう言われたらもう買うしかあるまいよ。
「よし、買ってくるよ。」
「やったー!!」
そして一時間後。
「買ってきたよ、みのべくん」
「わーい!誰の詩〜?」
しまった。それをちゃんと見てくるのを忘れていた。
みのべくんに言われて気がつくなんて俺もまだまだだな。
とりあえず誤魔化さなきゃ。
「......ひ、秘密〜」
「えー?」
「読んでからのお楽しみだよ」
「ふふ、わかった〜!」
誤魔化せた。やった。
「ふふ〜誰のかな〜!」
そう言いながら紙袋に入った詩集を持って、くるくると嬉しそうに回るみのべくん。
それはまるで後ろにアルプスの山々があるかのような、ハイジ感溢れる光景だった。
「へへ、ありがとう!おにいちゃん!」
「どういたしまして、みのべくん」
その夜、みのべくんは詩集を読んだ。
中原中也の詩集だった。
キラキラした瞳で詩を読んでいた。
面白かったのだろうか、それが気になる。
読み終えてベッドに入ってきたみのべくんに感想を聞こうとしたが、すぐ寝てしまって聞けなかった。
......まあ、みのべくんが幸せそうなので、良しとする。
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