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ちぎり、ちぎり(17/21)にしおりをはさみました!
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ちぎり、ちぎり(17/21)
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苦しそうな表情で涙を流し、俺を見下ろす白。
その瞳は悲しみと憎しみの色で渦を巻いていた。
涙の雨を顔に受けながら、白が発した言葉を何度も頭の中で繰り返す。
"
「"忙しかったから"で済むと思っているのか、小僧……!
我がどんな気持ちでお前のことを待っていたか……分からないのだろうな」
"
どんな気持ちで、俺のことを待っていたか…。
少しずつ、少しずつ、現状を理解していく。
そうか…………白は、何も知らないんだ。
俺がこの数年間、何をしていたのか。
白にとってみれば、俺の"この山へ来ない"という行為は、裏切りと同然だ。
裏切られたとしか、思えないんだ。
白と自分が幸せになる為にと、俺が頑張ってしてきたことは……俺の願望でしかない。
白はそんなことを望んでいた?
白は何を一番望んでいた?
俺との一生切れることがない、絆だろ。
あぁ……俺、何してるんだろ……。
ほら、白がこんなに苦しそうな表情で泣いている。
俺、大馬鹿者だ。
自分のことばっかで、白の気持ちなんてこれっぽっちも考えてなかった。
俺は約束を破って、白を傷つけた。
白が俺を喰い殺すことにより呪いから解放されるなら……俺は白に命を捧げよう。
責任を取らないと。
でも、でも……。
誤解は解きたい。
たとえ化け狐であろうと、裏切らない人間がいたという事を知ってほしい。
ずっと愛していた人間がいたことを知ってほしい。
やっと呪いが解けるんだ……嬉しいだろ?
最後くらいは笑顔でいて欲しいんだ。
そして、人間に生まれ変わって、今度こそ幸せになってよ。
だから……泣かないで、白。笑って?
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