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紅葉の季節 13(おしまい)にしおりをはさみました!
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紅葉の季節 13(おしまい)
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「あ、あそこが紅葉してる!」
浅黄が運転しながら、前方右を指さした。
綾倉と二人で紅葉を見に、山道をドライブしていたが、周りは常緑樹ばかりで、時々、1本、2本の単位で紅葉している木があるだけだった。
そんな木を見つけると、二人は飢えたようにその木を見つめ、無理矢理紅葉を楽しんだ。
浅黄が見つけた木を通り過ぎた後は、しばらく、代わり映えのしない緑の景色が続いた。
「全然、紅葉してないじゃないか」
綾倉が不満そうに言った。
「て言うか、紅葉する木がないよね。
でも、ここに来ようって言ったのは、綾倉さんだよ」
「テレビで、ここが今、見ごろだって言ってたんだ」
「どこかに紅葉スポットでもあんのかな。
テレビで言ってなかった?」
「そこまで真剣には見ていない」
「肝心なところを見てないんだから」
「あ、あの木は結構いい色だぞ」
今度は綾倉が前を指さした。
まあ、こんなことも、時間がたてば笑い話となり、楽しい思い出に変わる。
そうやって、いつか、自分と綾倉も一緒にいる時間が7年になり、やがてそれを超えるだろう。
早く、そんな日が来ればいいのに。
そんなことを考えながら、浅黄は綾倉を見て微笑んだ。
「なんだ?」
「なんでもない」
「気持ち悪いな」
気持ち悪くて結構。紅葉がなくても結構。
こうやって、今、一緒にいられることが重要なんだ、と思う浅黄だった。
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