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18歳以上ですか?
21にしおりをはさみました!
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21
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(Side:博之)
何があったのか詳しいことは知らないが、雅が龍弥と成宮と別れたらしい。大体のことは予想がつく。だから、誰を責めることもできない。皆、若すぎて不器用だったのだ。父親がでしゃばったところでどうなるものでもない。俺はただ、孤独に取り残された雅を守るだけだ。
幸せそうに笑っていたのはほんの一時だけだった。今また妖艶な作り物の笑顔に本心を隠している。雅は愛されれば愛されるほど美しくなった。美しさの中に垣間見える愛らしい笑顔に世界中が虜になったといっても過言ではない。
しかし皮肉なことに、雅の不幸が大きければ大きいほどまた、より美しくなるのだ。触れるのを躊躇うほどの、畏れさえ感じるほどの強烈なまでの艶を出して男という男を誑かす。
しばらく仕事を休んでいた雅が、俺の縄でイベント復帰するとなって緊縛ファンは大層歓喜した。前売り券は即完売して、主宰の芹沢もこんなのは久しぶりだと喜んでいた。
退院して少しは体調も落ち着いたが、相変わらず骨と皮ばかりの身体を縄で縛ると、肌はすぐに赤くなり血が滲んだ。悲痛なまでの表情に見るもの全員が息をのみ、全身を縛られた後の恍惚の表情で全員が勃起する。
女王としての絶対的な存在感は、父親である俺が見ても末恐ろしい。仕事が終わってもそのままファンの男たちと出かけていく。俺が守ってやろうと思っていたのに、あいつは自分一人で生きていくつもりのようだった。孤独をフェロモンに変えて男という男を食って、自分の哀しみを見て見ぬふりする。
そんなことではまた身体を壊してしまうだろう。どうあがいても父親というのは役不足なのだろうか。やはり、無理矢理でもアングラに復帰するのは止めるべきだった。
偽りの笑顔を見るのは辛かった。しかし、俺にはやはり、雅の本当の笑顔を引き出すことはできないのだった。
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