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18歳以上ですか?
小さい頃にしおりをはさみました!
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小さい頃
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「・・・ユキちゃん?」
「あんた、覚えてないの?・・・うーん、小さい子は、ショックで忘れたりするらしいけど・・・よっぽどショックだったのかしら?」
?
タイムリーな名前に、過剰に反応してしまったが、心当たりのない話に困惑する
俺が混乱しているのに気づいたのか、母ちゃんが続けて話し出した
「近所に住んでたじゃない、ユキちゃん。よく、赤いワンピース着てた、可愛い子。いっつも、あんたとそこの公園で仲良く遊んでたわよ?」
懐かしそうに目を細めながら、優しく語られる思い出
「でも、ユキちゃん、男の子でしょ?結婚できないって言っても、あんた聞かなかったから、本当に心配してたのよ?」
「え、男なの!?なのに、ワンピース?」
奏が驚いたように口を挟む
「あぁ、それは・・・あそこの家、母子家庭で、かなり貧乏だったから、お姉ちゃんのお下がりしか、服がなかったみたいなの」
悲しそうに下を向いた母は、そういえばと、また笑顔で話始める
「始めはユキちゃんも嫌がったらしんだけど、涼と会ってから全然気にしなくなったって、ユキちゃんのお母さんに、お礼言われたわよ?やるわね、あんた」
だんだんと頭の奥に追いやられていた記憶が、走馬灯のように溢れ出てくる
『その服、いいね、似合ってるー』
『・・・ほんと?』
『うん!かわいい!』
『えへへ、ありがとう』
・・・ユキ、ちゃん
「で、涼が5歳の時くらいかな?ユキちゃんのお母さんが病気で倒れてね?頼れる親戚もいないらしくて、ユキちゃんは一時は児童養護施設で保護されてたんだけど、そのままお母さん亡くなっちゃったの。それで、ユキちゃんとお姉ちゃんは、別々の家庭の養子になったはずよ?」
あたしが預かれたらよかったのにね、と後悔したように再び下を向く母
ユキ、ちゃん
ユキちゃん
ユキ
『・・・やっぱり、覚えてないんだね』
不思議に思っていたユキの言葉が脳内でこだまする
ぐちゃぐちゃだったパズルのピースが、やっとひとつにまとまった気がした
俺が忘れていただけだったんだ
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