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The wing which died surely turns into love
確かめる香り
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なんで布団の中……、なんだ?
微かに開いた瞳の端で、誰かに抱き締められている佳梛が見えた。
……夢、かな。
ぼんやりと思いながら、その情景を受け入れていた。
佳梛は、俺じゃなくて、他の誰かに愛された方が幸せなんじゃないか……。
そんな俺の考えが見せた嫌な夢だと思った。
キリキリと胸が痛む。
その痛みは、俺が彼を好きなコトを粛々と伝える。
佳梛……。
何かが、違う。
夢の中で見た佳梛の姿と、目の前の佳梛の姿は一致しない。
違和感だらけの胸の中。
でも、目の前の男が、佳梛じゃなくても。
たぶん、俺は、彼が……目の前で知らぬ相手に抱き締められている男が、好きだ。
そう、痛感した。
痛感した瞬間に、失恋した…気分だった。
目の奥が熱くなる。
瞳を開けているコトが辛くなる。
じわりと浮かぶ雫が、ゆっくりと閉じた瞳の端から零れ落ちていった。
熱かった雫が流れ落ちるうちに、冷たくなる。
俺の心も冷えていけばいいのに。
こんな痛み…、欲しくなかった。
ふと、肌に触れる指の感触。
よく知っている、俺の好きな感触。
「結芽……、?」
困ったように呟かれた俺の名前に、ふわりと落ちた唇の感触は、痛みに流れた涙を吸い取っていった。
薄く開いた瞳の先、佳梛が、苦しげな顔で俺を見詰めていた。
手を伸ばし、佳梛を抱き寄せた。
不安感に、胸が揺れる。
抱きつく俺に、佳梛は、安堵したような息を零した。
「良かった……。具合悪く、ない?」
心配げに紡がれる佳梛の言葉に、小さく首を振るった。
首筋に埋めた鼻で、佳梛の香りを確かめるように、息を吸い込んだ。
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