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確かに友だちが食べられたりして死ぬのは辛い。色々酷(むご)かったりするし…
だけど、僕が生きるために湿地になる果物を食べたり、鯨が生きるためにオキアミを食べるのと一緒で、人間も生きるために捕っていると考えれば仕方が無いと思うんだけどな…
「まぁそうだけど…」
でも、今これを言うと小魚達がもっと騒ぐのは目に見えて分かるから言わないでおく
「とりあえず、他の皆が無事か見てくる」
小魚達は分かった、気をつけてね、捕まらないでね、などと言って人魚を見送った
人魚は小魚達が示した方へ暫く泳いだ
アレか…
すると、人魚の視線の先に大きな船の船尾が見えてきた
あんな大きな船、久しぶりに見たな…
人魚は海面に顔を出す
やっぱり大きい…。あの1番上までどれ位の高さがあるんだろう?日が落ちてきてあんまりよく見えない…
あっ、人間だ…。もっと近くで見てみたい
水中に潜り泳ぎ出す。そして、真横まで泳ぐとまた海面に顔を出した
近くで見ると迫力あるなー
……んー…。でも、近くまで来ると人間が見えない…登ってみよ
人魚は登れそうな所がないかキョロキョロと見渡した
…あっ!あの部分から登れそう!
「よい、っしょっと」
人魚は手をヒレを上手く使ってよじ登っていった。そして、覗ける場所まで着くと手すりの間から甲板を覗いた
うわぁ!人がたくさんいる!
人魚の視線の先には何人もの男が荷物を運んだり、楽しそうに方を組み合ったりして喋っていた
いーなー…
ぽわんとしながらその光景を眺めていると1人の男に目が止まった。その男は他とは何か違う雰囲気を漂わせていた
あの人なんだろう?皆と笑顔で騒いでても何か違う感じがする……
船員「ラウトー!聞いてるのかー!」
ラ「はいはい、聴いてる聴いてる」
あの人ラウトって言うんだ…
男をじっと見つめていると不意に目が合った。男は目を見開き驚いた顔をした
嘘っ!見つかった!?
人魚は手を離し、ヒレで勢いよく船を蹴った。ザブンと音を立てて海に潜ると、一気に海底に向かって泳いだ
ここまで泳げば見えないかな…?
人魚は荒い息のまま船の方を振り返った。そこには身を乗り出す小さな黒い影が見えた
もっと見たかったけど、見つかって捕まるのは嫌だから諦めよ…
人魚は残念な表情を浮かべながら来た道を戻って行った
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