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29 sideラウト
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ラ「なぁ」
レ「んー?どうしたのラウト」
ラウト達は寂しそうに見送るミレントを残し、港を出航した。ラウトは海に出てもなお、1人甲板に佇むレイリスに声をかける
ラ「お前、本当によかったのかよ」
レ「…うん。これが正解」
正解って…
レ「納得いかないって顔だね」
ラ「とてもじゃないがそうとは思えねぇからな」
レ「…俺ね、両親から嫌われてたんだよ。理由は簡単
俺が出来損ないだから」
ラ「………」
レ「昔の俺は今とはかけ離れててさ、すごく貧弱で
ポンコツだったんだよね
すぐに体調を崩すわ、余計なことやらかすわでさ」
レイリスはグッと大きく伸びをしながらそう言った
レ「だから、元気で容量が良くて、
何でも出来る弟の方が可愛がられてたってわけよ」
ラウトは初めて聞いたレイリスの過去に驚く
レ「自分で分かっていてもさ、やっぱり子どもって
いくら変な親でも、愛されないと寂しいし、
悲しいし。それに悔しいじゃん?なんで僕はってさ」
ラ「俺は親の記憶がねぇからそこに関しては
何とも言えねぇな」
レ「そうだったね。まぁだからその後は
勿論グレたよねー
薬以外の悪事は粗方全部やったかな?」
ラ「あー…初めてお前と会った時、
結構荒れてたからなー」
まぁ当然といえば当然か
レ「そういえばそうだったね。
…で、この手紙なんだけどさ」
ラ「あぁ」
レ「本当はさっき言ったのとちょっと違ったんだよね」
ラ「なら、何て書いてあったんだよ」
レ「最後まで迷惑をかけて何を考えているのか、
ミレントが1人で寂しそうにしてるから
海賊なんか辞めろ、出来損ないなら出来損ないなりに
何かしたらどうだ。ってな感じかな…」
ラ「………」
レ「いい歳こいてこんな事言うのもあれだけど、
アイツらの言いなりになるのだけは嫌なんだよ
だから俺は、今までアイツらの言う
反対の事をやってきた」
そう言ったレイリスの顔は何の表情も無かった。そして、右手をポケットに入れる。そこには、先程無造作に突っ込んだ手紙がある
レイリスはそれを取り出すと、
ビリッ
無表情のまま、何の躊躇いもなく真っ二つに破り捨てた
その後もビリッ、ビリッ、と破り続ける。そして、何と書いてあったか分からなくなるほど破ると手を離した
粉々になった紙は潮風に乗って宙を舞い、やがて海に落ちて見えなくなった
レ「……はい、これでこの話はおしまい!
じゃあ俺は海図とにらめっこしてくる」
ラ「…ああ、頼んだ…」
レ「了解船長。頼まれた」
ニカッと笑いながら敬礼をし、踵を返して船内に戻るレイリスの背中は、初めて会った時にも見た、何かを訴える背中に似ていた様な気がした
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