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お別れにしおりをはさみました!
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お別れ
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(お別れ △微回想5日目 語り手はナビ サファリパークの中)
柳瀬が帰った後、少年Cは踊り台の上で頭を垂らして座り込んでいたので、心配になり修(おさむ)少年が近付いたら、少年Cはさらに俯いて右手で大事な所を隠した。
「大丈夫? 」
「上手く踊れなくて・・・」
「・・・ごめん」
「・・・・・・・・・」
少年Cはショックからか無言だったので修少年が続けて話した。
「君を全裸にさせてしまいごめん、でも恥ずかしがらなくても僕も全裸だし、寒いけれども此処ではその方が、歓迎されるみたいだよ、そ う だ ろ う ホ ー プ ? 」
「僕は修(おさむ)だけれど、君は?」
子象のホープが修に話しを振られて2回大きく頷いたあとに、少年Cが「名前ならないよ140号と呼ばれていた、君も収容所の学校から此処に連れてこられたの?」と話しかかられた修少年が、
「そうだよ、元気をだしな、何か美味しい物を探して来てあげるから、ここから動いたら駄目だよ、特に川の向こう岸には人 食 い 虎 が 沢 山 いるらしいから行ったら食われるよ、衣服以外に何か欲しい物ある?」
「あそこにあるナイフ貰っても良い?」
「良いよ、僕にはこの肋骨のお守りがあるから、それじゃホープ行こうか?」
修少年とホープは赤目象が、踊り台の近くの草むらの見えない所に運んで寝かせてある赤目虎の所に立ち寄って心配そうにお腹の白い毛を撫でて居たが、この時少年Cは、途中まで修少年とホープの後ろ姿を見送っていたけれども、我慢をさせられていたおしっこをする為に、見送るのを途中で辞め修少年とは反対方向の草むらに排尿をするために移動していたのでその様子を観ていなかった。
しばらくして、踊り台の赤い点灯に身ぐるみ剥がされた少年Cは、一人で居るのが不安になり護身用に貰ったナイフを片手に握りしめて修少年の消えた方向に歩きだし始めた。
一方、麻酔銃で撃たれた赤目虎も修少年が立ち去った後に意識を取り戻し草むらの中で、まだ頭がフラフラしているので、よろよろと立ちあがり足元を観たら、赤目虎の大嫌いな大きな蛇が居たのでびっくりして、自分の背丈よりも高い3m以上もあるエレファントグラスの草むらから、力を振り絞って跳躍して逃げ出した時に少年Cが目の前に居た。
「だ れ だ? 」
「坊 や、 や め ろ!!」
赤目虎は、悲壮な顔の少年Cが両手に握りしめて自分の飛びだした方向に向かって向けられた刃の長さが20cmもありそうな鋭く光るナイフに気がついて怒鳴ったが、虎の言葉など通じる筈もなく既に赤目虎の体内の奥深くにナイフは刺しこまれていた。
以前の赤目虎なら間違いなく少年Cが、赤目虎にナイフを突き刺す前に少年Cの頸動脈を噛み切り餌にしていたのだが、赤目虎はそうしなかった。
それは、修少年と出会ってからもう、生きている少年は殺さないでこれからは、お魚だけ食べて行こうと心に決めていたのと、大事な犬歯が1本は折れ、もう1本はグラグラになっていたので、目前の少年を殺すとしても一瞬に殺す事が出来なく爪を掛けて殺したら長く苦しめる事が判っていたからだった。
刺されたお腹から、血が溢れだして地面が血で染まり、腰を抜かして身動きの出来ない自分の返り血を浴びて怯えている少年を観ながら赤目虎が最後の力を振り絞って頭の中で修少年に語りかけ始めた。
「虎坊いるか? 居たら返事しろ」
「レッドさん、気がついたの?」
「あぁー虎坊、もう少年を殺さないと話した約束は守ったから、今まで嘘をついた事と、これでチャラにしてくれ、俺が死んだらもう温めてやれないから俺の毛を剥いでお前が毛皮にして着ろ、それから少年Aの骨は土に埋めてないから俺の骨と一緒に出来たら埋めてくれ、お前に会えて良かった。」
「レッドさん何言っているの、リンゴを持ってすぐ帰るから待っていて!」
そう、修が話した時に、赤目象が修少年の頭の中に話し掛けてきた
「坊や、今まで観た事のないような白く光輝く光の束が空から降りて来ているのが観えるか?もうすぐ光の輪になるぞ、それと赤目虎が苦しんで居て危ないぞ、変な事を俺に伝えて来た、自分が死んだら坊やのために自分の皮を毛皮にするのを手伝ってやってくれと言われた」
「わかりました、ホープと一緒に今帰る途中です。」
そう修少年が言った時に、赤目虎は目を開けている力も無くなり、目を閉じたら頭の中に、
「レッド、貴方は修少年の心の痛みを守るために身を投じてくれました、今も、その少年を殺さなかったばかりか、過去に殺した少年達も貴方に一瞬で殺されたので貴方を憎んでいる子は一人もいません、最後に質問ですが貴方は今でも支配する側の人間になりたいのですか?」
赤目虎が言葉を返した。
「誰だか知らないが、もう人間にも、虎にもなりたくない、空の上で腹が空かないなら前に観た白い光の輪の1粒になれたらそれで充分だ、支配する側の人間なんてあれは、嘘で一度言って見たかっただけだ、泣かせる側になるのは嫌だ。」
「わかりました、最後のお別れの時間が終わったら、前に約束した通り最後に肉体から貴方が飛び出せるだけの力を授けますから、その時は目を開けて私たちの仲間に迷わずになるためにすべての過去を忘れて光の輪に飛び込みなさい。」
赤目虎が頭の中でそれをはっきりと聞いて以前に観た白い光の輪の事を思い浮かべて居た時に、少し前に少年Cは象の餌である3m以上もあるエグラスを観るのも初めてで一人にされている不安もあり、護身用のナイフを両手で強く握りしめ目前に飛び出して来た虎のお腹に無我夢中でナイフを突き刺してから、腰を抜かしてずっと地面に座り込んで居たが、修少年の姿を見るなり気を取り戻し立ちあがって
「俺、人 食 い 虎 を・・・」
「・・・仕 留 め た」
と震える声で話したが、戻って来た修少年とホープや赤目象達は少年Cの方を一瞬みただけで、お腹に深くナイフが突き刺さり血を流して目を閉じ横に倒れている赤目虎の方に走り出して赤目虎を皆で囲んでいた。
レッドさんと大きな声を出して飛びついて来たのが、虎坊だと赤目虎にはすぐにわかったが、体から血が流れ過ぎて寒くて震えているのが精いっぱいだった。
修少年は赤目虎に体を温めて貰った事があったので、赤目虎に抱きついた時に冷たくなっているのが判り、少年Cの言葉とレッドの約束を守ったとの言葉からすべてを理解してしまった。
「レッドさん、ごめん僕のせいだよ。」
「ナイフを護身用に渡したのは僕だから」
そう、頭の中で赤目虎に話し掛けていたら、少年Cが修少年に近付いて来て、
「どうしたの? その虎4つ裂きにされそうになっていた子を噛み殺した人食い虎なにの抱きついたりして修君は怖くないの?」
「君は知らないだろうけれど、僕の命を雌虎から救ってくれた命の恩人だよ、今はその雌虎共仲良しになっている、頼みがあるこの虎レッドさんと言うのだけれど、体が冷えて震えているから抱きしめて温めるのを手伝ってくれないか?」
そう、修少年に言われた少年Cは、怯えながらも赤目虎の、お腹の方に抱きついている修少年を見習って、地面に裸体を横にして体と手足を赤目虎の背中とその上に添えた後にホープが鼻で枯れ草を運んでその上に乗せ出した。
一方赤目象のリリーは赤目虎の真上に今まで観た事もないような、大きな光の輪が空から降りて来て動かずに赤目虎の最後を見守っているのを観て、頭の中で赤目虎の片思いだった雌虎に必死に最後を近くまで来て見届けてやってくれないかと話しかけながら、修少年の手にしていたリンゴ数個を一つずつ鼻で掴んで平たい石の上に乗せた後に足ですり潰してから修少年にも話し掛けていた。
「レッドは喉が渇いて苦しんでいる」
「俺が川で水を汲んで来る」
「それまでこれをやってくれ」
そう言って、すり潰したリンゴを後にして赤目象は川に向かい走り出した時に、雌虎とすれ違ったので、
「お前、坊やたちが怖がるかも知れないから、悪いけれど此処で止まって頭の中でお別れを言うだけにしてくれないか?」
「わかったけれど、一体どうして元気だったレッドがこんな事になった?」
「事故だ、誰も悪くない」
そう言われた、雌虎は修少年達から50m離れた草むらに座り込んで頭の中で赤目虎にお別れの言葉を話しだしていた。
「レッド、あんたのお陰で魚が獲れて私も、子供も救われたよ、お礼を言いにきたけれど、あんたに抱きついている坊やたちが怖がるから此処で堪忍しておくれ」
「あぁーわかった、元気で居ろよ」
「俺は、最 後 は 幸 せ だ。」
と、赤目虎は雌虎に白い光の輪の力を借りて話す事が出来た、一方、柳瀬は翌日になって、赤目虎が少年Cによって殺された事を、踊り台の近くに複数置いてあった監視カメラで知り、激怒して少年Cを四つ裂きではなく、八裂きにするためにその日にもサファリパークに向かいたかったが、大切な要人を迎えるためにA国に向かう必要から、しばらく向かう事が出来なかった。
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