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⑩にしおりをはさみました!
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⑩
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「は、ええええ?!!?!」
俺は驚いてソファーから転げ落ちそうになった。
間一髪で遼さんに手を取られ助けてもらう。
「え、いや、え‥‥」
「ふふ、ごめんね。でも悪い話じゃないと思う。
俺が借金を全部払うよ。俺と一緒なら、家賃もタダだしね」
そう言って、遼さんはすっかり冷めてしまった珈琲に口をつけた。
ー珈琲飲む姿も様になるのか‥‥じゃなくて。
「な、んで‥‥」
「何で、だろうね‥‥俺も、分からないよ。
だけど、俺がさっき言った事は、嘘じゃない。
‥‥俺は要くんが好きだよ」
「っ‥‥///」
珈琲を置いて、真っ直ぐにこちらを見つめる。
その灰色の瞳は、嘘偽りが無いことを示していた。
‥‥いいんやろか、俺。
この人が優しい事は、嘘をついていないことは、見て分かる。
でも、俺は出会ってすぐのこの人の負担にしかならないんちゃうやろうか‥‥?
‥また、おかん達みたいに居なくなったら?
「要くん」
「あ‥‥」
俯いて考え込んでいると、ふわりと頭に重さが掛かる。顔を上げると、軽くデコピンされた。
「あいたっ」
「変なこと考え込んでいたね?」
「それは‥‥」
「‥‥まぁ、出会ったばっかだし、無理もないか」
ぐしゃぐしゃと髪を撫でた遼さんは、ちょっと寂しげな顔をしていた。そして離れていく手が何だか名残惜しい気がして。
俺は思わず、あの、と声を掛けていた。
「‥‥あの、遼さん」
「ん?」
「‥‥その、好き、とか‥‥まだ、よく分からないです。でも嬉しかった。
‥‥‥‥遼さんは、俺の前から‥‥」
そう言いかけてはっと気付く。
俺は何を言おうとしてるんや‥‥馬鹿。
「あ、いや、なんでも
「‥‥居なくならないよ、絶対」 ‥‥え?」
「要くんの前から、絶対に居なくなったりしない。置いていくようなこともね」
そう言って遼さんはぎゅ、と俺を抱き締めた。
暫く、お互いに何も言わずにそのままでいた。
‥‥よし。
そして、俺は口を開いた。
「‥‥遼さん」
「‥‥ん?」
「おれ‥‥
遼さんと‥‥一緒に住みたいです」
口から出た声は小さく、やっと遼さんに届く大きさだった。それでも遼さんに届いたらしい。
「‥‥っ!‥‥ありがとう!」
「‥‥っ//」
そう言って笑った顔は、本当にかっこ良かった。
✱✱✱
その後、俺と遼さんは話し合い幾つか約束を決めた。
まず、暫く俺は休養を取ること。代わりに俺が料理を作ること。そして、肩代わりは嫌だと反論し、必ず遼さんに将来借金を返すことなどを取り決めた。
「別に要らないのに‥‥」
「駄目です」
俺は首を振って嫌だと反論した。
絶対おんぶに抱っこは嫌やねん、俺。
「‥‥ふふ、わかったよ」
そう言って頭をぽんぽんと撫でて立ち上がった遼さんは、待っててね、お腹すいてるでしょと言いながらジャケットを脱ぎつつキッチンへ向かった。
慌てて俺も立ち上がってついていく。
「あ、俺も手伝います!」
「ん?ふふ、ありがとう。
でも、先にお風呂に入っておいで」
そう言って俺の手を引いてお風呂場へ連れていく。‥‥え、ここ家やんな?ホテルちゃうん?
超広い家を歩いて連れて行かれた先に、お風呂場に連れて行かれた。うん、広い。‥‥ちゅーか、これ某リゾートホテルのお風呂と一緒やないか。
「着替えは後から置いておくね。
脱いだ服とタオルは全部あのカゴの中にお願いします。タオルはここにあるから自由にね‥‥
あ、あとシャワールームは左で右がバスルームね。もう沸いてるから大丈夫だよ」
俺にテキパキと説明する遼さん、さすが中身もイケメンやんなあ‥‥。
そんなことを考えながら説明を受けると、遼さんはじゃあゆっくりね、と微笑んで出ていった。
「‥‥ふぅ‥‥」
俺は服を脱ぎながら思わずため息をついた。
今日、色んな事があった。
遼さんに拾われて、す、好きだと言われて‥‥‥一緒に住むことになって‥‥
今、こうして家にいるわけで。
俺はシャワールームへ入りながら、再びため息をついた。
「‥‥ありえへん‥‥」
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