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第6話にしおりをはさみました!
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第6話
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-第6話-
「小鳥遊くん!明日の文化祭私とまわらない?」
「あー、ごめん扇とまわるから」
「付き合って下さい!」
「....ごめん。..てか誰」
そう、これは、明日文化祭があることに焦る女子たちの台詞だ。
今まで隠して来たが、人生ラストの文化祭である。好きな人とまわらないと損だと焦っているのだ。
今までそこまで話したこともないのに急に誘って来たり、手を繋いでイチャイチャしながらまわりたいのか、告白して彼氏にしようとして来たり。
扇とまわることを口実に..、否、実際扇とまわるのだが..。
誘いを全て断って前日の夜を迎える。
明日絶対に行くと決めた所は、
糸魚川先輩のクラスと、演劇部。
演劇部はお昼休憩が終わって直ぐの
1時から。
午前中に扇の行きたい所をまわろう、
午後に演劇部を40分間見てから先輩のクラスに行って、その後はその時に決めれば良い。
この時点で俺は、
既に糸魚川先輩を優先して行動してしまっていて、無自覚だが相当頭が湧いてしまっていた。
先輩への気持ちは認めてはいるものの、そこまで本気で捉えていないのもまた事実。
まだ気の迷いだと、心の中で勝手に感情を抑えているのかもしれない。
「....寝るかぁ..」
特にすることもないし、程良い睡魔が訪れ始めたのでベッドに潜る。
冬に入った11月の夜。
俺は明日の舞台上の先輩の姿を少しだけ楽しみにしながら、頭上の電気スタンドの明かりを消して、毛布を肩まで被って瞼を閉じた。
初めて糸魚川先輩の夢を見た。
全校生徒の前で、壇上に立って堂々と言葉を並べている。
男子生徒でも糸魚川先輩に惚れている人はいると聞いたことがあるが、
恐らくその人達以外の男子生徒は、
前後の友人と話していたり、立ったまま睡魔と戦っていたり、頑張って近くにいる好きな女子生徒の視線を生徒会長から自分に目を向けようとしていたり。女子生徒は大体生徒会長に惚れている為、話は聞いていなくとも顔を見ていない生徒は極少数。と、普段と何ら変わらない日常の夢だった。
勿論夢だから、話を聞こうにも耳にちゃんとした単語は入ってこないし、
全校生徒のいるこの体育館も後ろを向けば別の世界が広がっていたりと謎の空間になっている。
そして突然風景が変わった。
体育館なのは同じだが、立っていた場所も生徒の並び方も違う。
何より、俺の隣には、ボヤけてはいるが恐らく扇がいる。
舞台を見ると、演劇部らしき人達が何か声を発していて、文化祭の夢だと瞬時に理解した。
そしてその演劇部の立ち振る舞いや衣装は見覚えがあり、去年の文化祭を思い出させた。
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