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18歳以上ですか?
122にしおりをはさみました!
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今週、樹さんは仕事が立て込んでいるらしく残業続きだった。
樹さんが家で夕食を取らない日は、料理をする気がなかなか起きないな‥‥。
今日はお弁当屋さんで買ってきてしまった。
前の家に住んでいた時は、母がよく野菜やら米やらを送ってくれていた。引越しの連絡をしたときに、樹さんとの同棲を内緒にすることに後ろめたさを感じてしまい、仕事が忙しく料理をしてる余裕がないから、と言って今はもう断ってしまっているのだ。
母さん‥元気にしてるかな。
弟の仁(じん)は今大学生だ。会いたいな‥‥。
父さんも‥。
みんなに会いたい気持ちはあるのに、家に帰るのが怖いんだ‥。
要の本当の父は、要が1歳の頃に亡くなっていた。
今の父は母が再婚した相手で、仁の妊娠を機に再婚したと聞いている。その頃の記憶はないが、育ての父と血が繋がっていない事を知ったのは要が小学生の時のことだった。
子どもながらに些細なことで父の態度が自分と弟とで違う事を敏感に感じていた。
ほんの些細な‥‥父の弟を見る眼差し‥‥悪い事をしたら本気で叱られる弟の仁‥。
可笑しいな‥と思いつつも親子であることは疑っていなかったが、お節介な親戚から事実を教えられた時に要の中で今までのことがすべて納得いくかのようで取り乱したりはしなかったような気がする。
でも、構って欲しい‥‥僕を見て欲しい‥僕だけを大切にして欲しい。
その気持ちは要を苦しめ、時にわざと自分を傷つけるほどだった。
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