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A≒B-1-にしおりをはさみました!
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A≒B-1-
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突然、暗い漏斗の底からぐいっと引きずり上げられたように、はっと眼が覚めた。
リビングのソファの上で起きるいつもの土曜日の朝。しばらく眠気の中に微睡んでいたが、はたと違和感に気付いて意識を覚醒させた。
ソファテーブルの上に置いてあるものは、いつもなら自分で引き出しを開けて朝一番に確認しているノートだったが、何故かノートが開かれて置かれていた。
こんなことは初めてだったので不安に駆られながらも、ノートに書かれている内容に目を通す。すべてを読み終えるより先に、慌てて自分の部屋へと走って携帯を探した。最後に置いた場所と変わらない場所にそれはあって、すぐに画面をONにすると。
「うわ…」
狐塚さんからの尋常じゃない数のメールと着信履歴。充電器を差し込んだままにしてたおかげで、電源は切れなかったらしい。
まさかこんな形で知られてしまうなんて、と想像していなかった展開に軽くパニックになる。深呼吸を何度も繰り返して呼吸を落ち着かせ、携帯を持ったまま再びソファに戻った。
ノートを最後までを読み、これから自分がすべて話さなければいけないことを痛感する。10月11日までには話すつもりだった。その日までに話す内容をまとめて心の準備をしようと思っていたから、今はまだ全然その準備が出来ていない。
「…こんなことがあるなんて」
運命の悪戯か。神様の悪戯か。それとも、俺たちの哀れな恋を終わらせるために起こった、必然なのか。最後の最後に、こんなことになるなんて……俺も彼も、馬鹿だ。
傷付けなくてもいい人たちを、傷付ける。大人しく、10月11日というその日を待っていればよかったのに、我慢が出来なくてお互いの代わりになる存在を求めてしまった。
これが俺たちへの罰だと言うのならば、甘んじて受けよう。俺は大きく息を吐き出し、狐塚さんへのメールを作成し始めた。
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