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第13話にしおりをはさみました!
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第13話
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一方その頃王様の住む村では、家来達が地下室にこっそり集まって話し合っていました。大臣の話によると、大臣が街を出た時にはすでに多くの市民がお城に押し寄せ兵士達は武器やら食料やら財宝やらをわんさか抱えてお城から出てきたところだったそうです。家来達はこの一大事を、「或る人」の命の危機を、王様に伝えるべきかどうか悩んでいました。
ある家来は、
王様に伝えれば王様は市民と一緒に「或る人」を殺すだろう。王様を殺人鬼にするわけにはいかない。
と言い、またある家来は
革命が終われば、どのみち王様は中央に戻される。なら、今のうちに伝えるべきだ。
と言いました。
話は何時間経ってもまとまりません。最終的に多数決で決めることになりました。7人の家来のうち、3人は伝えることに反対し、3人は賛成しました。最後は執事がどうするかでした。執事は誰よりも長い間王様に仕えてきました。そんな執事は最終的に伝えるに賛成しました。それが王様にとって1番良いと執事は考えたのです。
執事が革命のことを伝えるために王様のところへ行くと、王様はちょうど午後のティータイムを過ごしていました。執事を見ると王様は
ごめんね、さっきまでクッキーの残りがあったのだけれど、もう食べちゃったんだ。あんまりにも美味しくてね。子ども達と一緒に作ったんだけど、みんなお昼ご飯を食べるのに帰っちゃったから少しずつ持たせたんだ。
と、少し残念そうな顔をしつつ笑って話しました。
執事は腹を決め言いました。
王様、今日から2日ほど前、中央で革命が起きました。
新国王陛下始め複数人の貴族がお城に立てこもっております。兵士もすでに逃走し、職務を捨て、市民と共に立ち上がりました。
王様は最初、きょとんとしていました。
そして持っていたティーカップを落としました。
ティーカップが落ち、割れた音で我に返った王様は息を落ち着かせてから尋ねました。
「或る人」は、「或る人」は無事なんですか?
すると執事は正直に短く、わかりません、と答えました。
王様は執事に鎧と馬の仕度を大急ぎでするように命じました。執事が部屋を出ると王様は金庫の中の写真を抱きしめ、震える声で小さく言いました。
愛しいあなたを必ず助けます。だからどうかそれまで待っていてください。必ず助けますから…
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