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蒼穹
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「早見!」
「おお、葦原。どうした?」
早見は初めて出来た友達だった。
夜間の高校を出た仲間で、
一生懸命勉強して同じ大学に入った。
「食堂の席空けておいてほしい。すぐ戻ってくるから!」
「わかったけど…何かあんの?」
「また呼ばれちゃって」
「葦原はモテ男くんか!
理解理解!行ってきな!」
「ありがとう!んじゃ!」
「おう!」
大学生活は楽しい。
みんなが優しい。
心理学の勉強も楽しい。
心からそう思っている。
「葦原くん、付き合ってください!」
「ごめん、わざわざ告白してくれたのに期待に応えられないです…。でもありがとう!」
「ううん、葦原くんと話せて良かった!やっぱり優しいし!より好きになりそう!!」
「もう、そんなの贅沢だよ。ありがとう。
じゃあね!!吉原さん!」
「名前覚えてくれてる…ばいばい!」
告白は流石に多すぎるけど。
「お待たせ!!」
「お疲れ葦原!なんでお前は彼女作らねーんだ?」
「必要ないっていうか…みんなから優しくしてもらってるのに一人だけを愛すなんて酷いなって」
「その言ってる意味がわからないんだよなぁ。何かあったの?」
実はまだ、早見に何も言っていない。
前の高校で散々な目にあったとか、
本当はこんな人間じゃなかったこととか、
まだ何も伝えたことがない。
「言いたくなさそうな顔してる。いいよ、言わなくて。でもいつか言えよな」
「わかった」
「ってことで!葦原には今日合コンに行ってもらいます!教えてくれないから!!」
「え?!」
「他校の女子とだぜ。バイト先の友達からのお誘いなもんで、お前にとっちゃ知らねえやつが男子の中にいると思うけど」
「むりむりむり」
「じゃあ言える?」
「むり…」
「じゃあ駅のあの居酒屋で七時!」
「わ、ちょ!」
「次講義あっから!さよなら〜」
やられた。
彼女なんて探す気ないって言ったのに。
でも、少しは勇気出してみるか。
行ってみるだけ。それだけ!!
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