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ここまで話し終え、チラリと隣のエリックを見る。
エリックはなんともいえない、表情をしていた。
「…その後はリーから連絡はなかったし、
俺もあのときのキスの意味は今でもわからない。
まぁ、海外での挨拶のひとつかなって。
家の問題が片付いた小学6年生の冬、
俺は東京に戻ることになった。
東京に行くならば…母親とじいちゃんを
説得して、【ブリュンティエール日本校中等部】
を受験して、合格したんだ。」
「以上。」
エリックはこんな俺をどう思うだろう。
たった一人のパティシエによって
動かされた俺の人生。
スッと、今もつけているブレスレットを撫でる。
あの日からずっと離さずつけている。
いつか、あの人に返すために。
顔を上げるとパチッとエリックと目が合う。
あれ、こいつ…
今まで気づかなかったけれどよく見れば、
似ている。
綺麗な金髪に身長がスラッと高く、
目鼻立ちがはっきりしていて、綺麗な顔立ちだ。
黙っていればかっこいい。
黙っていれば。
似てない所は…アクアマリンを思わせる碧い目
そこだけだ。
「シュ…「お前…あの人に似てる。」
俺がそう言うと、エリックは一瞬
顔をひきつらせた。少し怒っているようにも
見える。エリックはそんな俺の発言を無視して、
早口で催促してきた。
「シュン…その【リー】って人の本名は?
どこの出身の人なの?」
「出身と本名が…その、覚えてなくて…」
そう、この話の最大の穴
俺は、【リー】の本名も出身地も
覚えていなかった。
そりゃ…7年も前のことだし…
エリックは「はぁぁ…」と今までに
聞いたことのないくらい盛大な溜め息をついた。
なんでお前が怒ってんだよ
「春は…【アーサー・リチャード】
って人を知ってる?」
「知ってるもなにも…有名なパティシエだろ」
世界的に活躍するパティシエの一人で、
あまりメディアに出なく、その素性も
明らかなではないところが若い女性から
ミステリアスだと今人気があるらしい
「そう。出身はここ、ブリュンティエール本校。
だけど出身はイギリス。今は26歳かな?
イギリスを拠点に世界で活躍する
ショコラティエのひとり。」
手を組み、俺を真っ直ぐに見てくるエリック
「アーサ・リチャードの本名は?」
知らない…それが本名じゃないのか?
俺が首を横に振ると、エリックは静かに言った。
「本名はアーサー・リチャード・リホーウェン。
幼い頃の愛称は『リー』そして、」
「俺の兄さんだ。」
青い瞳に捕まる
逃げられない
この感覚を、俺は
知っている。
カチッ、カチッと時計の針の音だけが
二人きりの部屋に響いた。
似てるなんて、当たり前だ
だって、エリックとリーは
兄弟なのだから。
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