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飢えているのは血じゃなくて4にしおりをはさみました!
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飢えているのは血じゃなくて4
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ステージの演目が終わると、榎野は女子に急かされるようにして席を立つ。ステージの出し物が終わると、いよいよパーティーが始まる。各サークルや学校関係者が屋台を開いているのだ。焼きそばにたこ焼き、焼き鳥といい匂いが漂う中。女子のテンションは上がっているが、榎野は正直そんな気分にはなれない。フードスペースで榎野がキョロキョロしていると、背中を思いっきりどつかれる。服越しでもわかる、馴染んだ体温。振り返ると、やはり思い人がそこにいた。
「榎ェ~野ォ~!!」
ただし、前に『酔っ払った』がつく。
「楠田さん…??えっ、お酒飲んだんですか!?校内での飲酒は禁止されているはずですよ!?」
屋台も未成年の飲酒を配慮して、校則できっちり規定されているはずだ。楠田は真っ赤な顔で、流暢に喋る。
「だぁ~いじょぶだって!!近くの佐々が知っている居酒屋で生飲んできたらけらから!!もぉ、ビール最高!!」
年上の男に背後から抱きつかれて、四肢を絡められ、榎野は内心穏やかではいられない。
「な、何杯飲んだんですか??…佐々先輩ったら、もう…。この人は酒癖悪いのに…。」
「いい~じゃんッ!!お前、モッテモテだしよぉ~!!」
それにぃ、と榎野の肩に顎を乗っけて、年上の男はニヤニヤ笑う。
「お前、今日はどの子をお持ち帰りするの!??」
「な…ッ!!」
恋人の発言に榎野は顔を曇らせるが、周囲の女子達は違う。楠田をただの友人と考えている彼女達は話に乗っかる。
「そうだよ、榎野先輩!!私なら遊びでも付き合うから、ね??」
「彼女には一晩くらい黙っていたってかまわないよ、だから先輩、ほら…さぁ。」
「大体、榎野先輩に本当に彼女いるんですかぁ??一緒にいるところ、見たって話聞いたことないしィ…。あたし、フリーって言われたって怒んないですよ??」
言い寄られて、たじろいでいる榎野の肩口で恋人は上機嫌を装って言う。
「ほらさぁ、榎野!!このむっつり吸血鬼め!!恥ずかしがらずに言えって!!なぁ…、誰の血が飲みたいんだ??」
「楠田さん、いい加減に…。」
刹那。楠田は相手にしか聞こえない声でぼそっと呟く。
「…俺は、飲み頃だと思うんだけど??」
「…っ」
瞬間。榎野は、ひらりと身を翻すと年上の男を俵抱きにしてその場を去ろうとする。
「待って、榎野先輩!!どこに…。」
吸血鬼紳士は足を止めると、顔だけ捻って口元に人差し指を一本あてがい、淑女達にそっと告げる。
「…なに。この血の気の多い狼男の、調教に行くだけですから。」
お気になさらず、と付け足して吸血鬼は足早に去っていく。後に残された女子達は、一泊置いて『先輩何あの色気~っ』と本人の主張そっちのけで騒ぎ出す…。
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