アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
6にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
6
-
「本当に好きな人には、それまでの価値観とまったく矛盾することでも、そうなっちゃうんですよ」
「意味わかんない」
「それこそ……そうですね、相手の幸せを願うなら、こんな自分じゃ駄目だっていう……」
「ただの自己満足? 気持ち悪いね」
言いながら、それなら自分はどうなのだと暗澹たる気持ちになる。
自己満足で仁史と別れた。
元彼たちの気持ちを踏み躙って男と付き合い続けた息吹の末路だ。
由正への批判は結局、息吹に返ってくる。
しかし息吹と由正の自己満足は違うという確信があった。
「あんた、女と付き合ったことないでしょ」
「男ともありませんよ」
「そういうことじゃない。もしかして、やったこともないんじゃない?」
拗ねたような由正の返事に畳みかけると、抵抗を示すように目を伏せられた。
「いろいろ頭で考えてさ。たぶん、頭はいいんだと思う。だけど、現実の痛みは全部違うよ」
まだ出会って3回目だけど、友達だから。
ゲイ以外に特徴のなかった息吹に選択肢を示してくれたから。
俺はあんたに向き合いたい。
「あんた、人の自由を認める代わりに、自分の意思を殺してる。不自由で、窮屈そう」
傷ついたように目を見開いた由正を見て、そろそろ自分も懺悔の時間だと腹を括った。
「俺、言っちゃった。仁史に」
これは由正に知らせるべきではないのだ。わかっている。
由正がかつて焦がれた人の夫だ。
「俺でもよかったじゃん。なんで子どもが産めない女とさあ、わざわざ結婚したのって。そんなに結婚したかった? って。言っちゃった」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 40