アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
-
最近の繭は、何かをずっと考えているようだった
俺には何もしてあげられない
ただ、答えが出るのを待つしか無かった
「・・・・・・・・・・」
「最近、雨が多いね」
「翔」
翔もそう
元気そうにはしているけど、前とは少し違うような気がした
「楓は何も言わないんだね」
「俺に何か言う権利は無いよ」
「恋人を殺されたのに?綺麗ごとを言うなよ、みんな同じ痛みを抱えてるじゃない」
「まぁね」
理由はどうであれ、確かに痛みを抱えている事は確かだった
「だけどさ」
「うん」
「繭は優しいから」
優しいから・・・
翔はそう言っただけで言葉を止めた
確かに繭は優しい
本当は優しいと思う
「翔はどうするか決めたの?」
「ん~、入院中の怪我人を殺すほど悪人じゃないけど」
「そうだね」
「繭も同じじゃない?」
「だから答えが出ないんだね」
「そう言う事」
「うん」
「楓はどうなの?」
俺はどうなんだろう
恋人を殺された事は事実
だけど、全て忘れてしまっている奴を殺す事が出来るのだろうか
「楓の考えている事を当てようか?」
「俺の考えている事?」
その言葉に、心臓がドクンと鳴った
「みんな、仲良しで友達も恋人も出来た・・・だからもうこのまま全てを忘れてしまおうか」
「翔」
「大体普通の人間なら同じ事を考えるよね」
「・・・・・・・・」
「だけど、俺と繭は許せない所まで来ているんだよね」
「わかってるよ」
繭と翔が受けた傷は深い事は知っている
だから、俺は何も言えない
俺が許しても、二人が許さなければそれに従うしかない
「そんな顔を繭に見せるなよ」
「わかってる」
「俺はね、繭に従うよ」
「繭に?」
「同じ痛みを知っているからね」
「そう」
「と言うか、煙草吸うんだね」
「今更?」
「制服に匂いがついているのに繭は何も言わないんだ」
「・・・・・・・・・」
「繭は喘息を持っているから、煙草もほどほどにね」
「うん」
翔は本当に繭の事を知り尽くしている
俺よりもずっと・・・・・
どんなに繭を理解していても、翔には勝てそうもない
「じゃ、行くよ」
「うん」
翔が立ち去ろうとした時、咄嗟に尋ねた
「繭は、全ての会社が欲しいの?」
「楓、まだまだ勉強不足だね」
そう言って消えて行った
「勉強不足か・・・」
翔と繭の目的は、18になるまでに和海を殺して全てを奪い取る事なのかな
和海を殺した後は、どうするんだろう
みんな卒業して、何事も無かったかのように生きて行くのかな
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
101 / 169