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ここは好きじゃないけど、一人になりたかった
ご立派な音楽堂に入り、木の椅子に寝転がった
「翔、いいか?」
今度は冬矢かよ
「嫌味でも言いに来たのか?」
「やはりお前が・・・和海は何も話してはいない」
「へぇ」
何も言っていないんだ
「和海はずっと嘔吐している」
「あそ」
だって、飲ませた解毒剤は効果が一番弱い奴だしね
「どうしても和海を許せないか?」
「許すって何?」
「お前は知らないかも知れないが、和海はずっとお前の事を」
「それ、さっき聞いた」
「好きになって欲しいとは思わない、だけど」
「だけど何?和海も辛い思いをしたから許してやれって言いたい?」
「いや、だけど和海に敵意はもうない」
「みたいだね」
「だったら」
「それってお願い?バカみたい」
「馬鹿でもいいさ」
「・・・・・・・・・」
「翔」
「あのさ、邪魔!出て行かないのなら俺が出て行くけど」
「・・・・・わかった」
そう言って出て行った
弟は可愛い?
それとも、和海は十分に罪を償ったとでも?
笑える・・・・ほんと
仕方なく起き上がり、音楽堂を出た
雨に打たれながら歩き、和海の部屋を窓から覗いた
「うっ・・・ぐっ」
相当苦しそうだ
窓から部屋に入り、和海に言った
「ほら、これを飲め」
「翔」
「こっちが本物の解毒剤だ」
「いえ、翔の願いは私が苦しんで死ぬ事なのでしょ?」
「いいから飲め」
「飲みません」
「は?」
「信用されないなら生きていても意味はありません」
「なにその脅迫」
「違います」
「違わないけど」
「ぐっ・・・・ぐはっ」
「飲めって言ってるだろ」
「嫌です」
「和海、俺の言う事が聞けないの?」
「翔・・・・・」
「これは命令だ、飲め」
「・・・・・・わかりました」
解毒剤を飲んだ和海は、そのまま気を失う様に眠った
「信用ね・・・」
本気で死ぬつもりだったのだろうか
相当苦しかったはずなのに
「やっぱり、熱が出たか」
タオルを冷やして額の上に乗せた
ふと、昔の事を思い出していた
確かに、昔の和海は優しかった
何でも俺の言う我儘を聞いてくれた
そんな和海を悪魔にしたのは父親だ
あいつと一緒に俺を弄んだのは、自分を護る為なのか?
足音が聞えた
「冬矢とチェンジだ・・・またね」
窓から庭に出て部屋に戻った
「翔、どこにいってたのさ!」
そうだった
部屋にはこいつがいた
結局、どこに行っても俺を一人にはしてくれないって事か
「散歩」
「ねね、あのさ」
「ん?」
「学園に乗馬クラブがあってさ」
「あるな」
「入部しようかと思うんだけど」
「いいんじゃないか?繭に言えば馬を用意してくれるさ」
「そんなのいいよ、高いし」
「いや、俺が用意してやる」
「翔が?」
「嫌なのかよ」
「ううん、でも悪いよ」
「別荘から連れて来ればいいだろ?」
「そっか!またあの子に会えるんだね」
「あの子・・・まぁそうだな」
「嬉しい!俺頑張るよ」
「落馬しないようにな」
「むっ!しないもん」
「でも、乗馬クラブの部長は氷龍だけど」
「し、し、しってるし!」
絶対知らなかったな
「それでもやるの?」
「うん!だって楽しかったし」
「そっか、わかった」
俺はお前が羨ましいよ
楽しい事を発見出来るんだから
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