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何かを怒っていたがいつもの事だ
冬矢もこれで元気を取り戻すはず
また学園で一緒に過ごせるのが楽しみだ
あの青年がどう言う関係だったとかはどうでもいい事
病院を出て、迎えの車に向かう途中
髪が揺れる程の風と鈍い音がした
後ろで聞えた音は聞いた事の無いような音だった
反射的に、後ろを振り向いた瞬間
膝から崩れ落ちた
「・・・・・・冬矢?」
数分前まで確かに生きていた
違う、人違いだ
足元に流れて来る赤い血
冬矢が着ていた色のパジャマ
冬矢と同じ色の髪
全てが赤く染まっていた
「嘘・・・・だ」
そのまま動かない人間に近付き、顔を見た
「冬矢・・・・・何故・・・冬矢!!」
横たわる血だらけの死体は間違いなく冬矢だった
意味が分からない
確かに何かに怒ってはいたが
死ぬほどの事なのか?
息をしていない冬矢を抱き上げ、何度も名前を呼んだ
「どうして・・・・・私を一人にしないで」
それからの事は余り覚えていない
気付いたのは病室だった
そして看護師から冬矢の訃報を知らされた
気が狂いそうだった
生まれた時からいつも一緒だった
いつも味方をしてくれた
「何故ですか?」
あの時、冬矢は怒っていたがあれは燕羽では無い
だとすれば事故なのか?
まさか、冬矢に限ってそんなミスなどするわけがない
そもそも、病室の窓など開けた事は無かった
「確認しなければ」
ナースステーションに向かい、冬矢の担当看護師の事を尋ねた
返事はすぐに戻って来た
この病院で働いていて、冬矢が専属にしていた事も聞いた
警備室に向かい、冬矢の部屋の録画記録を調べた
あの青年が来たのは約1カ月前
「最初は看護師として部屋に来ている」
会話も普通だし仕事も真面目だ
冬矢も普通だった
そのまま記録を辿って行くと・・・・・
「何故私に隠していたのですか?」
まさか、あの冬矢が彼の事をそんなに想っていたとは
笑顔の冬矢を見るのは久しぶりだった
全ては、彼に向けられた笑顔
毎日、彼の為に届けさせた食事やデザート
一緒に寝ている姿
彼も冬矢の事が好きだったのか
彼の瞳だと知り、後を追うほど愛していたとは想定外だった
確かに、冬矢にしてみれば死を選んだ方が幸せかも知れない
だって、愛する人はもういないのだから
頬を伝う涙を拭い、警備室を出た
葬儀は密かに済ませた
私の選択が間違いだとしても今更だ
冬矢は生き返らない
だから、後悔などしない
私がおかしいと思われてもいい
冬矢を失っても私には翔がいる
「大丈夫です、翔様が私に仕向けた事は許してさし上げましょう」
翔は私よりも先にこの事を知っていた
私が彼を見てすぐに殺す事もわかっていた
「本当に、残酷な天使ですね」
私を思い通りに操った気分はさぞかし笑えたでしょうね
いいでしょう
今しばらくはお付き合いをして差し上げます
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